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〔共済連便り〕

家畜診療日誌

農業共済連 真庭家畜診療所蒜山支所 
 西 山   篤

 蒜山で思い浮かべるのは,ジャージー牛であろう。この牛と付き合いをするようになって早や4年が過ぎようとしている。ジャージーといえば,低カルシュウム(Ca)血症・乳熱が多発することはよく知られている。乳熱で思い出される珍しい一例を紹介します。朝乳熱発症,Ca 剤投与。昼には起立。夕方再度起立不能,Ca 剤投与し夜には起立。この繰り返しで,Ca 剤総投与量7L以上となった。この牛は,Ca の吸収が悪かったのか,排泄能力がよすぎたのか判からなかったが治癒した。
 低 Ca 血症は,泌乳最盛期・乾乳期など,どの時期でも発症する。また,急性乳房炎・下痢発症時にも併発し,起立不能となる場合がある。この発症のメカニズムについてはよく分からない。ただ乳熱様症状を呈するものには,Ca 剤投与が欠かせない。ホルスタインでは,ジャージーに比較して低 Ca 血症は発症が少ない。同じ牛なのにどうしてこんなに違うのか。これがジャージーの宿命なのだろうか。これからますます寒くなり,「朝から,牛がへたっとるで!」という電話が多くなるだろう。