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〔普及現場からの報告〕

公共育成牧場の取り組み
─ 高梁大池山育成牧場の場合 ─

高梁農業改良普及センター

1 はじめに
  高梁大池山育成牧場は,高梁市の北部,宇治町大池山に昭和44年から整備された施設で,ピーク時には預託頭数が170頭を超え,地域の酪農を支えてきた牧場です。しかしながら,近年酪農家戸数の減少とともに預託頭数は激減し,現在ではピーク時の半分をも下回り経営の見直しを迫られています。
  一方,預託酪農家の大半は牧場依存度が高く,継続的に牧場を利用するための施設や草地等の整備充実を望む声もあります。
 こうした状況のなか,昨年地元のびほく農協酪農部員が中心となり大池山育成牧場利用組合を設立しました。そして施設等の管理作業を引き受けるとともに,酪農家や関係機関が一体となり牧場の運営方法の見直し等,経営のカギとなる預託頭数の確保に向けた様々な取り組みを行っているので紹介します。

2 牧場の概要

3 経営改善のための具体策
 @預託コストの明確化
  牧場の利用メリットを明確にするため預託経費を算出した。この結果,牧場を利用することで育成経費の低減が図れることが判った。


 A技術レベルの向上
  預託牛の発育向上と受胎月齢の改善を図るため,現状の哺育・育成体制を見直すとともに,飼養管理の徹底,技術レベルの向上に努める。
 B草地管理の徹底
  関係機関等の技術支援をあおぎながら,計画的な草地更新と雑草防除を図り,草地の維持と牧草生産力を高める。また,今後は一部飼料作物の作付も検討に加え良質粗飼料の確保に努める。

4 課   題
 @預託頭数の確保
  牧場の運営上,一定頭数以上の常時飼養頭数の確保が最大の課題であり,預託酪農家の範囲を広げるためのPR活動等が必要である。
 A哺育部門の検討
  現状の哺育部門の事故率が高く,大きなリスクとなっている。今後,哺育部門の廃止を含め,預託酪農家との調整が必要である。
 B管理体制の確立
  計数的な管理記録に基づいて経営内容の把握と分析を行うとともに,効率的な経営が行えるような管理体制づくりが必要である。
 C財政支援
  牧場の性格上,事業収入だけでは経営が成り立たないため,今後も関係機関の継続的な財政支援が必要である。

5 ま と め
  酪農家が後継牛を自家育成するか外部導入するかは,労働力や立地条件,初妊牛価格の変動にもよりますが,経営上の大きなポイントです。育成牧場の利用は,育成経費や労力の軽減の他,現状施設規模での増頭が可能となるなど多くのメリットがあります。一方,牧場サイドでは,より多くの預託牛を集めるために技術の研鑽や幅広いPR活動等の努力が必要です。酪農家の信頼を得られれば預託頭数の増加は十分見込まれます。
  管内には,若い後継者の他,規模拡大や生乳の高品質化に取り組む意欲的な酪農家がまだ多くあります。酪農の更なる発展のためには,公共的な育成牧場の持つ役割はこれからも大きいようです。