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〔地域情報〕

幸農会堆肥生産利用組合

倉敷地方振興局農林水産事業部畜産係

 近年,畜産農家の規模拡大や労働力不足等により家畜のふん尿の経営内利用が困難になりつつあり,一部で野積み,素堀貯留等不適切な管理が見受けられ,このことが主な原因となって悪臭・衛生害虫の発生・水質汚染等の環境問題が発生し,畜産農家と地域住民との間で問題が生じるようになっています。
 このような環境問題の発生を防止するためには,畜産農家が家畜ふん尿の適切な処理及び利用を図るとともに,耕種農家との密接な連携のもと,一層の有効利用を促進することが必要です。
 そこで今回は,畜産農家と耕種農家の有機的結びつきにより,良質堆肥の生産を行い,耕種農家の土づくりを推進し,野菜,水稲及び果樹の生産,品質の向上を図ることを目的に設立された「幸農会堆肥生産利用組合」について,その概要を紹介します。

1 生い立ち

 昭和47年に倉敷市の貝原牧場(酪農経営)を中心として,有志が家畜ふん尿を共同利用したのが始まりで,昭和51年10月には堆肥生産利用組合を結成し,昭和52年4月に「幸農会」と命名されました。

2 組 合 員

 畜産農家1戸,耕種農家10戸の計11戸の農家で構成されており,組合長は貝原康征氏(畜産農家),副組合長は原誠一氏(野菜農家)です。

3 ふん尿処理施設の整備状況

 昭和52年度,昭和61年度及び平成5年度の3年間で,「家畜ふん尿処理システム化施設設置事業」(単県事業)により,オガクズ貯蔵庫(1棟),第1次発酵舎(1棟),ショベルローダー(1台),ふん尿運搬車(2台)が畜産農家に,第2次発酵舎(11棟),土壌診断器具(1式),ミニローダー(1台)が耕種農家に整備されました。

4 ふん尿の利用体系

 ふん尿はオガクズと混合し,牧場内の第1次発酵舎で20〜30日程度堆積する。その後,耕種農家の2次発酵舎に運搬して,モミガラを加え3〜12カ月間切り返し堆積発酵を行い,完熟化したものを水稲,軟弱野菜(チンゲンサイ,ホウレンソウ,シュンギクなど),果樹(ももなど)に利用しています。
 なお,堆肥は組合員は無料,組合員以外には1t当たり4,000円で販売しています。

5 そ の 他

 「幸農会」は会員相互の結束が固く,互いの理解と協力によって常に技術の向上のために研鑽を続けており,農文協発刊の農業技術体系土壌施肥編に「おがくず堆肥(軟弱野菜)」として掲載されたり,畜産公害の解消と土づくりの功績に対して倉敷市長から表彰されるなど,都市近郊型農業のモデルケースとして注目に値するものです。
 なお,「幸農会」に関するお問い合わせは,貝原牧場(所在地:倉敷市老松町1−5−5,電話:086-422-4745)までお願いします。