ホーム岡山畜産便り > 岡山畜産便り2000年3月号 > 脱臭資材を使用した畜舎・家畜ふん尿の抑臭効果について

〔技術のページ〕

脱臭資材を使用した畜舎・家畜ふん尿の抑臭効果について

岡山県総合畜産センター

1 はじめに

 環境意識の高まる中で,今日の畜産経営では堆肥化等家畜ふん尿を処理するのみでなく,畜舎・ふん尿処理施設等から発生する臭気についてこれまで以上の配慮が必要となっている。苦情発生件数でも約半数は悪臭に関するものであり,今後も周辺生活環境の改善がすすむなかで,悪臭発生を一層念頭においた対応が必要となってくる。
 畜産分野での悪臭防止策については,これまでに燃焼法,吸着法等の物理化学的処理,あるいは活性汚泥法,土壌脱臭等の生物学的処理が提唱されてきた。しかし,コスト面及び維持管理の問題から普及が難しく,それに代わる簡易な脱臭方法が求められている。
 これらのことから,最近,微生物等を活用した各種脱臭資材が流通しており,手軽に活用できることもあって,県下でも使用する例が増加している。しかし,その効果,利用法については不明な点もあり,畜産農家においては混乱を招いているのが現状である。
 岡山県総合畜産センターでは,これまでに県下で流通している脱臭資材の能力について平成5〜8年にかけて野外試験調査(家畜ふん尿処理利用技術実用化調査事業)を行ったので,その概要を述べる。

2 調査方法及び結果

 (1) 調査方法
 対象畜種は牛・豚・鶏で,調査した資材は,@尿槽に投入して臭気の抑制と水質浄化作用を持つ資材3種類,A家畜ふん尿に直接散布して臭気を抑制する資材4種類,B家畜に経口投与することにより臭気を抑制する資材8種類の計15種類とし,その使用方法は説明書に準じて行った。
 調査は5月〜12月の期間で行い,畜舎内臭気についてそれぞれ資材使用前と,使用後は20日目,50日目,及び80日目の計4回行った。なお,対照区として資材を使用しない畜舎(飼養条件は資材使用区とほぼ同様)を設けて比較した。
 (2) 結果の概要
 調査の結果,畜種間で共通して明確な効果のある資材は見あたらなかった。しかし,その中でも畜種限定で臭気低減傾向が認められた資材もあった。ここでは,畜舎臭気の低減傾向がみられた2資材について特徴を述べる。

ア.資 材 名:バイオクリーナ
  効果確認畜種:採卵鶏
 この資材は飼料添加もしくは散布型の微生物資材で,微生物の分泌する酵素による飼料及び未消化成分の分解促進によりふん尿の臭気低減を図る資材である。
 アンモニアについては,試験区で開始後20日目に上昇したが,その後顕著な低下がみられ,80日目には対照区より低い値となり,効果が認められた(図−1)。

硫黄化合物は試験区,対照区ともにほぼ同じ傾向であるが,ピーク時の濃度は試験区が2割程度低い値であった(図−2)。

低級脂肪酸でも常に低レベルで推移するなど,これらについても資材の効果が示唆された(図−3)。

イ.資 材 名:ニオワンダフル
  効果確認畜種:肥育豚
 この資材は飼料添加型の植物質資材で,経口投与することにより体内環境の改善を図り,ふん尿の臭気低減を促進するものである。豚舎内のアンモニア,硫黄化合物については,50日目までほぼ同様に推移しているが,80日目ではいずれも使用区で大きく低減し(図−4,5),低級脂肪酸は50日目以降急減している。

特に養豚業由来臭気の主体である低級脂肪酸の低下に大きな効果があった(図−6)。

 このように,両資材とも80日目以降に効果が現れた。しかしながらこのことは,脱臭資材の使用にあたっては,ある程度の期間を設けて効果判定を行うべきであると思われる。さらに,畜舎臭気は測定ポイント・測定時期等により大きく変動されることから,反復試験が不可欠であると思われた。

3 臭気対策のポイント

 臭気発生防止対策は,発生源を絶つことが基本であり,そのためには,@家畜の健康管理:健康な家畜を飼育するA新鮮ふん尿の早期分離と搬出:搬出されたふん尿を出来るだけ早期に分離し,畜舎外に搬出して適切に処理・利用するB畜舎等の清掃管理:畜舎及びその周辺の清掃等,環境改善を励行するといったことが重要である。

4 おわりに

 臭気の性質として,臭気濃度を9割減少させて初めて感覚的に半分減ったと感じる程度である。また,人間の嗅覚は,表のとおりかなり低い濃度でも臭いを感じるなど,臭気問題の難しさがうかがえる。
 畜舎臭気をゼロとすることは難しい。しかし,地域社会の共存のためには,先に述べた基本的な悪臭防止策が第一である。このことを遵守して初めて脱臭資材の真の効果が発揮されるものと考える。

(飼料環境部環境衛生科 内田啓一)