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〔普及現場からの報告〕

フリーストール,フリーバーン酪農経営の比較検討について

岡山県農業総合センター 総合調整部    
技術普及課 旭分室 佐藤 和久

 飼養方式を繋ぎ飼いからフリーストール,フリーバーン(以下ストール,バーン)に変え規模拡大する酪農経営が増えつつあります。このたび,県畜産会の協力を頂き両方式(ストール,バーン)の技術・経営の特徴及び適応条件等を検討する機会に恵まれたのでその概要について説明します。

1.疾病発生状況および生産性

 ストールでは蹄疾患,バーンでは乳房炎の発生が特徴的に見られました(第1表)。また,経産牛1頭当たりの乳量では約400sストールが上回っていました(聞き取り調査結果)

2.飼養管理状況

 牛体の汚れ,敷料の汚れはバーンの方がやや多く見られました。しかし,バーンの優良経営では敷料交換間隔が短く敷料の汚れも少なく,敷料管理の重要性が感じられました。(第2表)

3.経営比較(経産牛1頭当たり)

 バーンが牛乳販売収入において約63千円下回り,経産牛処分損では約19千円上回っており,上記1,2から乳房炎による生産効率低下,廃牛の発生が主因と推測されました。(第3表)

4.経営者能力

 両方式ともに経営理念と計数感覚が重要と思われました。(第4表)

5.今後の方向

 以上の意向調査結果を加えて両方式導入上の留意点についてまとめると,総合的には将来の経営像をしっかり持ち,計数感覚,牛の観察眼を有することが重要であり,方式別では,ストールで糞尿処理の具体的計画の樹立が,バーンで敷料の潤沢な入手が不可欠と思われました。また,今後の改善点としては,ストールでは蹄疾患対策として送風の実施や清掃による通路管理やフットバスの設置が必要であり,バーンでは敷料管理が重要と思われ,敷料交換頻度向上や戻し堆肥利用等の対策が考えられました。