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採卵鶏舎におけるハエ対策の試み

岡山県総合畜産センター 中小家畜部  
研究員  森 尚之

 畜産環境保全は畜産農家においても重要な課題であり,畜産経営環境保全実態調査によれば養鶏に関わる苦情の中で害虫発生の件数が約3割と大きな割合を占めている。計画性のない殺虫剤の反復使用は,散布作業,薬剤購入等による経営負担が大きくなり,さらに鶏体へのストレスも問題となっている。採卵鶏畜舎におけるハエ対策は,昆虫発育抑制剤(以下IGR剤)を使用(鶏ふんへの散布)し幼虫駆除を中心とした予防的対策,並びに有機リン系殺虫剤,ピレスロイド系殺虫剤,あるいはカーバメイト系殺虫剤を使用するハエ成虫駆除を中心としたハエ異常発生時の緊急的対策がある。
 健康的な鶏舎環境で安全な鶏卵を生産するための一つの方法として,IGR剤の飼料添加が考えられる。この方法では,ハエ異常発生を防ぎ,散布作業が軽減され,ハエ駆除が確実に行えるので当センターで検討した。
1)シロマジンの5.0ppm及び2.5ppmを添加した成鶏用配合飼料を白色レグホン種に28日間連続給餌した。各区6カ所に50p×50pの受皿をケージ下に設置し,1週間分の鶏ふんを採取した。鶏ふん中のサナギ及びハエ幼虫数を計測した。
2)サナギは,5.0ppm区では1週目以降,また2.5ppm区では3週目以降で発生を認めなかった。両区とも対照区に比較して2週目以降から有意に発生を抑制した。(図1)
3)ハエ幼虫は,2.5ppm区において発生防止効果が1週間程度,5.0ppm区よりも遅れた。両区とも対照区に比較して2週目以降から有意に発生を抑制した。(図2)
4)産卵率,飼料要求率,及び体重の推移から,シロマジン飼料添加による生産性への影響はないものと考えられた。
 以上のことから,シロマジン有効成分濃度5.0及び2.5ppmを添加した飼料の継続使用により,生産性への影響は問題なく,即効的なハエ駆除はできないが,低労力で確実なハエ発生防止効果が持続的に得られると推察された。シロマジンは散布用IGR剤としてハエ発生防止に使用されているが,飼料添加IGR剤としては,取り扱いに注意が必要であり,動物用医薬品として本剤の製造承認が待たれるところである。