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硝酸塩中毒の予防法

岡山県岡山家畜保健衛生所

1.はじめに

 近年,一部の輸入乾草に硝酸塩濃度の極めて高いものが散見され,これに起因すると思われる牛の硝酸塩中毒も報告されている。また,糞尿の飼料畑への過剰還元から,自給飼料でも硝酸塩濃度の高いものもあり,さらには硝酸塩は水によく溶けるので,地下水の硝酸塩汚染も危惧されている。

2.硝酸塩中毒の予防法

@ ルーメンコントロール
 硝酸塩中毒は,牧草中の硝酸塩が家畜の第一胃で還元されて生成される亜硝酸(NO2)やヒドロキシルアミン(NO2OH)が原因となる。

(NO3→NO2→NO2OH→NH3)

 ルーメンコントロールとは,ルーメン内でNH3を合成させることにより,生成した亜硝酸(NO2)等を速やかに消失させて,硝酸塩中毒の発症を防止しようというものである。
 そこで,ルーメン内でのNH3合成促進のために,ルーメン内のNH3濃度を下げる必要があるので,ルーメン内にNH3を利用する乳酸菌を加えたり,ルーメン内を乳酸菌に適した環境にするという試みが行われている。
A サイレージ発酵による硝酸塩の還元
 サイレージ発酵の過程で,種々の微生物(硝酸還元菌)の働きによって硝酸は還元される。しかし,硝酸塩減少率の高いサイレージはpHが高く発酵品質が低いものであるとの報告が多い。
B ガイドラインに従った飼料・水の給与
 飼料中の硝酸塩の正確な危険水準(ガイドライン)を決めることは,牛の個体差があり難しいが,アメリカの大学獣医学部の技術普及部門から公表されているガイドラインを紹介する。このガイドラインに従って,飼料・水の給与を行うことが望ましい。