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〔特集〕

「おかやま黒豚」の銘柄推進について

岡山県農林水産部畜産課

1 はじめに

 最近の畜産を取り巻く情勢は,国内で92年ぶりとなる口蹄疫の発生や,家畜ふん尿処理問題,そして加工乳の食中毒問題などを背景に,社会の環境と食品の安全性に対するニーズに応えた生産・流通体制の確立や,畜産業に携わる者の意識改革が強く求められるようになってきました。
 また肉豚価格においては,現在は安定的に推移してはいるものの,昨年末からの調整保管の実施,地域肉豚安定基金の発動にみられるように,全般的には決して好調とはいえない状況にあります。
 さらに,この2年間有効に機能してきた地域肉豚生産安定基金造成事業も,UR関連対策であることから本年度で終了することになっていることと,国際化の進展にともなう輸入豚肉の増加など,養豚にとっては予断を許さない状況で,基金を基本とした価格安定対策の強化や,一層のコスト削減などによる経営安定が望まれます。

2 養豚の重要性

 しかしながら,近年豚肉の国内消費量はわずかではありますが増加傾向で推移しており,養豚関係者にとって大変心強く,需要の増大に応えた生産が重要であると考えているところです。
 また食肉消費量において,豚肉は1番であり,年間1人当たり消費量は約10.2sと,牛肉の7.2s,鶏肉の10.1sと比較しても,日本人の食生活において欠かすことのできない食材となっていることがわかります。
 特に最近は,輸入豚肉から様々な国産銘柄豚肉へと,消費者の選択肢は広がっており,特に国産豚肉のPR活動の展開や正しい知識(「豚肉は健康食品である」という)の普及・啓発の効果により,国産豚肉への志向が高まりつつあります。家計消費については実に9割のシェアを占めており,生産に対する意欲と同時に,消費者が求める安全性や品質向上に対して責任を果たしていかなければならないことを痛感させられます。
 また養豚はこうした豚肉を供給する産業として発展する一方で,配合飼料製造,流通・加工,販売業者等と関連し,我が国の経済全体からみても重要な位置付けにあります。
 昨年度,生産から消費までの専門家の参加により開催された「養豚問題懇談会」の報告書においても,家計消費における国産豚肉のシェア拡大の必要性,養豚産業の重要性が強調されており,今後は加工・販売などの多分野と連携した,肉豚生産の振興を図る必要があると考えています。

3 「おかやま黒豚」の現状

 岡山県内で飼育出荷されている,肉豚の種類について分類してみると,大きく4種類に分けることができます。全農系の一般系統豚(50%),そのSPF豚(15%),商系の海外合成豚(30%),黒豚(4%)といった内容です。
 その中で,黒豚つまり「おかやま黒豚」はまぎれもなく高級豚肉であり,県としても特に力を入れてその生産振興と消費拡大を推進しているところです。
 平成2年からの本格的な推進以来,徐々にではありますが,着実に出荷頭数が伸びてきており,県内で生産されている肉豚が平成10年次は約53,000頭なのに対し,黒豚は約1,850頭と約4%を占めています。
 また平成8年度から平成10年度にかけて黒豚の本場イギリスから総合畜産センターへ導入した種豚によって,現在の出荷肉豚の大半はこのイギリス系となっており,やわらかで独特の風味を持つ食感は「おかやま黒豚」の特徴となっています。
 消費者への安定的供給という面においては,出荷量の不足と季節変動があり,意欲ある生産者を中心に増頭などの対策を講じているところです。
 このような中,昨年度,関係者のご理解とご協力のもとに,生産者(現在6農場)から流通関係者までを構成員とする「おかやま黒豚銘柄推進協議会」が発足し,黒豚の生産から消費拡大までを幅広く推進する母体が組織されました。
 この協議会においては,生産拡大や肉質向上についての検討を重ねる一方,販売・消費拡大対策を最重要課題として,特に本年度は,おかやま黒豚の取扱店を指定し(指定店),より適正な表示のもと消費拡大を図っていくことになっています。

4 「おかやま黒豚」の推進方向

 「おかやま黒豚」の課題としては,まず出荷頭数を増やすことがあげられます。そのためには,既存の農場の規模拡大はもちろんのこと,畜種の転換・複合あるいは耕種部門との複合などを含めた新規生産者(グループ)の掘り起こしをしていく必要があります。出荷頭数を確保し定時定量出荷を実現していくことが,一方の課題である販売指定店での年間を通じた取り扱いにつながると考えます。
 また能力や斉一性の向上を図るためには,フィールドでの基礎データが必要であることから,関係者の協力を得ながら繁殖,肥育,肉質等についてのデータを収集・分析し,種豚の改良,飼育技術の向上,農場での経営意識の向上などにつなげていきたいと考えています。
 さらには,低需要部位である「うで」「もも」の調理方法の普及,及び加工品の開発などもあわせて取り組む必要があると考えております。
 当面の生産目標としては,県全体の肉豚出荷頭数拡大のための生産振興も図りながら,県内生産量シェアの5%前後に当たる,年間出荷頭数3,000頭以上に拡大し,指定店等へ安定的に供給することが課題と考えています。
 県としては,「おかやま黒豚等産地づくり推進事業」を中心に,生産農場へ優良種豚の導入助成,施設整備助成,畜産センターへの優良種豚の計画的導入,また価格安定事業,消費拡大対策などで銘柄推進と農家経営の安定を図っていくことにしています。

5 おわりに

 調査によると,現在国内には,約200もの銘柄豚肉が存在しています。まさにここ数年は全ての食肉を含め,銘柄ブームだったといえるでしょう。しかし本物の銘柄として認知されているものはほんの一握りだけです。
 「JAS法」の改正等により,良いものを適正な表示のもとに販売する時代がやってきました。そして実際は規定されていること以上に,正確に表示,PRできる銘柄が最終的に生き残る銘柄だと考えます。
 「おかやま黒豚」は生き残る銘柄です。今後とも関係者の皆様のご理解とご協力についてよろしくお願いします。