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〔普及現場からの報告〕

大規模酪農経営の改善に向けて

勝英農業改良普及センター

○ はじめに
 勝英管内は,勝央町,奈義町を中心とした県下有数の酪農地帯で,経営規模の拡大が進み,平成11年度のホクラク生乳出荷番付でも上位60戸のうち23戸を管内が占めています。

 放し飼い方式は,平成元年〜8年にフリーストール方式が5戸,平成8年以降にフリーバーン方式が5戸で導入されています。
 昨年から今年にかけても,事業や資金を活用し,規模拡大を図るため2戸が導入しましたので,その事例を紹介します。

○ 放し飼い方式導入事例
 (1) O牧場(写真1)
 Oさんは,平成4年度公社営畜産基地建設事業でつなぎ牛舎等を整備し,50頭搾乳を行っていましたが,さらなる規模拡大と省力化をめざして,昨年,畜産振興資金を借り受け,牛舎をフリーバーンに改築,乾乳牛舎とヘリンボーンパーラー(4頭W)を整備,乳牛を導入し,9月から搾乳を開始しました。
 当初は蹄病に悩まされましたが,1年経過した現在では事故も無く,牛がすこぶる健康に保てており,経産牛1頭当たり乳量も改築前の8,600sから9,100sと伸びており,経産牛85頭規模に向けて計画的に増頭中です。
 また,改築前は尿の処理に困っていましたが,現在は敷料に吸着させているので,糞尿処理作業が半分に省力化しています。

 
O牧場:フリーバーン牛舎(写真1)

 (2) E牧場(写真2)
 Eさんは,つなぎ牛舎で40頭搾乳でしたが,長男の就農を契機に法人化と規模拡大を計画し,平成10〜12年度農業公社牧場設置事業でフリーバーン牛舎とオートタンデムパーラー(4頭W)等を整備し,今年の6月から搾乳を開始しました。
 乳牛は畜産振興資金等で導入し,現在経産牛100頭を飼養し,ふん尿は敷料のオガクズに吸着させて堆肥コンポで処理しており,近く堆肥舎も完成する予定です。
 新しく造成する5haの草地の活用や資金の償還等が課題ですが,「今後は経産牛120頭,日乳量3tを目標に頑張りたい。良質堆肥を生産し地域へも貢献したい」と意欲的です。

E牧場:パーラー搾乳(写真2)


○ おわりに〜研究会組織の設立〜
 以上,2戸の事例について紹介しましたが大規模酪農には各々,技術,労働,資金,環境等,様々な課題があります。
 こうしたことから,普及センターでは今年度,広域技連等関係機関との連携をとり,大規模酪農家を対象として,「勝英地域大型酪農研究会(仮称)」の設立を準備中です。
 研究会では,@飼養管理と良質乳低コスト生産,A自給飼料の生産と利用,B環境改善とふん尿処理利用,C情報・経営の管理等に関する研究や情報交換を行う予定で,組織活動により個々の課題解決につながるものと期待されます。