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第3回日本ジャージー共進会を振返って

蒜山酪農農業協同組合 代表理事組合長 長綱 元昭

 待望の岡山全共,決定される迄には相当の年月が費やされた。誘置へ向けて多くの人々の努力が注がれやっとの思いで決定。実に感無量のものが有ったと推察する。岡山開催の為には是非ジャージーも一緒にという県を揚げての要望に,ホル登録協会も,歴史と伝統と誇りの強いものがあるにもかかわらず英断によって受入れて頂いた。これだけ戸数,頭数の減少する中で牛種は違っても同じ酪農に変りはない。双方日本の酪農を支えて行くには,牛の改良,仲間の交流,消費者へのアピール,全て道は一つ,時代の流れと変化の中で当然と言えば当然とも思える。しかし,流れを変えるには,勇気と決断が要求された事も事実だ。9年当初から素早くジャージー全共開催に向けて計画が着々と進められ,色々と協議に参画させていただいた。過去例のない事ゆえ,開催期間中の審査日程,フォーラムの内容,視察研修,表彰規定等々それなりの苦労もあった。蒜酪としても出来る限りの協力をするという前提で全体的取組みに参加させて頂いた。県,県酪連,ホクラク農協,各種団体に於ては候補牛選抜はもとより,飼料給与毛刈講習,授精卵輸入,歩行訓練指導,再々の巡回指導等数え切れない多くの世話をして頂いた。開催直前になると落度はないだろうかと色々心配な面は有ったが,いよいよ11月2日大会突入。視察経験はあるにしても岡山の地元でこれだけ多くの人の集まる大きな大会にジャージー全共を開催して頂いた,この迫力緊張感,感動は想像以上のものがあった。この4日間は出品者はもとより関係するすべての人が,一瞬のうち終わってしまった感じが非常に強いと思う。支柱もなく明るく広々とした審査会場,美しく磨かれ,鍛えられ,訓練されたすばらしい牛,それをリードする出品者,審査のトップを切るジャージー牛,この漲る緊張と美しさ,誰もが上位をめざす,一生忘れ得ぬ感動のすばらしいシーンであった。
 この日の為に努力してきた結果が今評価される。観客も体も小さく色も変ってるけれどもこの美しさ愛らしさは認めてくれたと思う。こんなに多くの人達にこんな乳牛も居るんだという事を見てもらえて本当に良かった。
 2日目はジャージーフォーラムである。
ジャージー島から,世界ジャージー協議会会長アン・パーチャード氏とデンマークより,ジャージー協議会理事ジィバー氏を招待して世界レベルのディスカッションとなった。
 ジャージー島を中心としたジャージー牛の歴史と国策によりジャージー牛推奨を図っているジャージー島,J牛のすばらしさで,世界では頭数も増大しているという事,又デンマークに於ては高脂肪高タンパクの追求でF6%P4%というレベルの高さ,乳製品を作る上では最も効率の良い牛種である事,驚いた事にその多くの乳製品は日本に輸出されていると言う,あまり喜べない一面も知らされた。又デンマークのすばらしさは乳検受検率が非常に高く,そのデーターは実に細やかに分析され後継牛創出に最大限利用されている。よってヤングサイヤーの利用は世界でトップとの事。我々ももっとデーター分析による改良,経営効率のUPと有効利用する事を学ぶべきである。我々は感に頼っている面が大きい。秋田から土田雄一氏,熊本から高村祝次氏,岡山から私と3名でパネラーをつとめ,地区的特徴と今後の歩むべき方向を提示したつもりであるが,いかにJ牛と言え手放しで喜べるものでは何もない。時代の変化とそれぞれの地域の情況により差異がかなり有る。共通している事は乳牛の改良と,牛乳の持つ良さをいかに付加価値をつけて有利販売するかという事だけだ。お互が知恵を絞って頑張るしかない。それが結論だ。
 3日目は蒜山視察。県南から急遽県北へ。開会してから募集した20余名を加え60余名。バス2台で酪大,Jランド,河合牧場と短時間で日程を消化した。地元から両村関係者及酪農家20余名の参加を得てバーベキューで懇親を深めた。最高の快晴に恵まれ,紅葉も8割がた色づき自然豊かな風景も好感を与えたと思う。帰途の車中,会話も弾み変化に富んだ貴重な一日であった。夜は岡山市内ホテルに於て最後の歓迎祝賀会。全国の名士が集合,外人さんも多く国際色豊かだ。牛に関係する多くの人達,親交を深め情報を交換し県外のすべての人を歓迎,厳しい酪農情勢下にあっても,明日へつながる熱気が強く感じられた。
 大会4日目,いよいよ最終日,尻上りの好天に恵まれ絶好調。2日間は全く審査を見れなかった。しかし役務上本部席に座らせて戴き,各部上位2頭づつの入賞牛の行進をつぶさに見る事が出来た。愛牛をリードする人も,入賞牛も最高に美しい,いよいよホルスタイン種,ジャージー種の最高位の決定。どちらも乳器のすばらしさは群を抜いていた。体形ももちろん立派,やはり日本一。
 表彰の前に高円宮入場される。その風格と高貴なムードに改めて感動を覚えた。地元県勢が過去例のない程の好成績。ジャージー牛も多数優等賞に輝いた。若い後継者も多数参加,受賞の感激も味わった。一生心の宝となろう。最高位賞を長野の前田勉氏が受賞,敗北として悔いが残った。これを発奮材料とし一層の精進が必要だ。乳牛改良のむつかしさは永遠の課題である。全国の多くのJ牛の仲間達は異口同音に今後もJ全共を是非開催してもらいたいと切なる気持ちを明からさまに言い放った。関係各位に於かれましては必ずや念願を叶えて頂きたい。切にお願い致します。
 終ってから岡山全共は大成功だったと耳にする。財政事情最悪,酪農情勢最悪,直前迄多数の最悪な情況が起こり本当に危ぶまれた。これ程迄に開催の危機に見舞われた大会はなかっただろう。そんな中で大成功を収め得た事は,県当局を中心にすべての関係各位の熱い熱い熱意の表れであった。
 施設面の万全はもとより,最終段階での県全体の結団式,行政,団体の関係者すべて招集しての壮行式,いやが上にも大きな盛り上りへの演出,大会に突入してからは,出品者を中心に多くの酪農家,行政職員,団体職員を巻き込んでの団結,その中で特筆すべきは,森田団長の指揮の功績は非常に大。又北海道の外部支援も忘れてはならない。多くの人の団結と熱意と勢いが岡山大会を成功へと導いたのだ。20世紀の最後に酪農家はもとより,すべての関係者は,非常に大きなものを得た。次世紀に向け,酪農発展の起爆剤として生かして行かなければならない。
 最後に岡山県をはじめ,各関係機関,各団体の皆様,その他本大会に携わっていただいたすべての皆様にお礼と感謝を申し上げます。