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藻類(Prototheca zopfii)を原因とする牛の難治性乳房炎

岡山県井笠家畜保健衛生所

 近年,抗生剤が効きにくい微生物による乳房炎が増加し問題となっています。具体的には真菌,酵母,マイコブラズマといった微生物による乳房炎があげられますが,その一つとして,最近,発生が増加傾向にある Prototheca zopfii(以下P.z)という藻類が引き起こす乳房炎があります。これにかかった牛は,盲乳または廃用となる例が多く認められています。

1.生物としての P.z の特徴:P.z はクロレラに近縁の葉緑素を持たない藻類で,自然界(下水,河川,池,樹液,糞,etc)に広く存在しています。

2.症状:症状は一般の乳房炎の症状と似ており,乳量の減少や乳房の軽い腫れ,その他に赤みがさしたり,しこりがみられます。このため,症状から他の乳房炎との区別がつきません。

3.治療:感染の早期には,有効な抗生剤の投与により回復した例がありますが,一般的に市販されている乳房炎治療薬の多くは効きません。

4.対策:P.z の乳房炎は治療より感染予防の対策が重要となります。
 @ 飼養環境の清浄化
 もともとP.z は牛にはいないので,下水,河川の水に浸かった敷き料等,P.z に感染されていると考えられるものを飼養環境に持ち込まないことが重要です。このことから牛への給与は川の水,池の水等をさけ,きれいな水を給与しましょう。また,P.z に経口的に感染された牛では糞中からもP.z がとれることがあるため,糞便を堆肥化することは重要となります。特に,戻し堆肥を利用している農家は発酵温度に気を付けて完熟堆肥を使用するように心がけてください。
 次に,P.z が長く生存しないようにすることが大切です。具体的には,牛舎内の湿度を低く保ち,牛床をきれいにし,定期的な消毒はP.z の排除に効果があります。牛床への消石灰散布は手軽な消毒方法なので実行してみてはいかがですか。ただし,石灰は古くなると消毒効果が薄れるので,新しいものを使ってください。
 A 牛のストレス軽減
 P.z の乳房炎はストレスと関係が深く,P.zの乳房炎の多くはストレスのかかる分娩時,夏・冬等の季節の変化により環境が悪化したとき,搾乳の失宜があった場合,高蛋白飼料を過剰に与えた場合などに発生しています。乾乳期間は少なくとも60日はとることとし,乾乳前期には,良質飼料を給与して,泌乳期の疲れを取り除いてやりましょう。また搾乳時には泌乳生理を十分に理解し,過搾乳をなくすなど,牛にストレスのかからない飼養管理・環境整備に気を付けてください。