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〔普及現場からの報告〕

堆肥共励会を通じた耕・畜農家の交流

 東備地区農村振興対策協議会は,昨年から良質堆肥の生産や利用促進を目的に堆肥共励会を開催しています。この共励会は,管内の堆肥化処理施設で生産される家畜糞尿を原料とした堆肥を対象に,その品質等を評価するだけでなく,耕種農家と畜産農家の交流の場となっています。

◆共励会の内容
1)出品者
 共励会には,対象となる畜産農家の9割近くの出品があったほか,耕種サイドからの出品もありました。

2)評価内容
 今回は,初めての試みとして牛,豚,鶏の堆肥をそれぞれの基準で審査し,採点しました。また,審査項目には性状や理化学性の他,販売単価や運搬・散布などのサービス部門も加え,生産から流通までの総合的な評価としました。

3)展示即売
 出品された堆肥は,製造方法や販売単価,運搬の有無を記して展示しました。農家の方は興味深げにそれぞれの堆肥を手に取るなど体感し,中には,その場で堆肥生産者と商談する姿もありました。

4)講演会
 耕種農家を中心に大勢の方が参加され,用意したイスが足りなくなるほどでした。
 講演は,耕・畜連携の先進事例として,山陽町の酪農家藤原千恵子さんから「耕種農家と共に歩む」,総社市の野菜農家原誠一さんから「堆肥と共に28年,そして・・・」という2題を紹介していただきました。

山陽町の酪農家藤原千恵子氏の講演

◆アンケート調査
 講演会に参加した耕種農家を中心に,堆肥の利用に関するアンケートを行いました。農家の求める堆肥は,完熟で散布のしやすい堆肥で,堆肥の原料畜種はあまり関係がないようでした。
 堆肥に求める効果は,土壌改良効果と肥料効果の他,化学肥料にない成分への期待や収穫物の味が向上するなどが上位を占めました。また,10a当たりにかけられる堆肥に係る経費は散布代込みで8,000円以下となりました。一般に稲作の場合,肥料代が散布代別で10,000円弱/10aとされているため,耕種農家が散布しやすい堆肥を生産することで流通が促されるものと思われました。

◆耕・畜の交流
 この共励会は,堆肥の品質等を評価するだけでなく,「耕種農家と畜産農家の交流の場」と位置づけて開催しました。耕種農家の聞き取り調査などでは,「地元の堆肥を使っているが生産者の顔は知らない」とか,「堆肥は使っているものの他の堆肥について考えたことはない」と言った声がよく聞かれます。そのためか,堆肥の展示会場には大勢の耕種農家が集まり,その種類の多さや性状の違いに驚き,また,堆肥生産者と交流する姿がありました。

◆おわりに
 今回初めて耕種サイドからの堆肥の出品がありました。畜産農家が良質堆肥生産に向け一層の努力をすることは当然のことですが,これからは,耕種農家も作目に適した堆肥づくりを行う事例が増えてくるものと思われます。そのためにも,耕種農家と畜産農家が交流を深め,連携をさらに高めていくことが必要と思われます。