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〔共済連便り〕

家畜診療日誌

中部家畜診療所 田 村 展 敏

 数年前より中部家畜診療所では,乳牛ドック健康診断を行っています。
 本年度は,5月16日家畜保健所・ホクラク・共済連・酪農家12戸との間で,乳牛ドック検診内容(方法)等の説明会を開催し,‘乳房炎防除対策事業’を実施する事に決まりました。
 まず,乳房炎の指標とされるものは体細胞数であり,乳の生産量や乳成分に大きな影響を与えています。1頭1乳期の減乳量は,体細胞数10万/pでは,初妊牛で約90s・経産牛で約180s,20万では,180s・360s,40万では,270s・540s,80万では,360s・720s等と,乳房炎の発生は酪農家にとって泌乳量の減少(低下),乳質の低下,薬剤費,治療費,飼料代,生活費等の損失とかなり大きなウエートを占めています。
 実施対象農家は建部町内の12戸,検査時期は6月と11月頃の2回予定,検査方法は,各農家の搾乳牛全頭を乳房別にPLテスターで凝集反応検査を行い,乳房炎罹患牛をリストアップし,+++以上を示す分房の乳汁をサンプリングし,個体別・分房別に細菌培養し,菌種の同定・薬剤感受性試験を行い,予防・治療等の処置を行い(後日,検討会を行う),乳房炎牛の減少(罹患牛の摘発),体細胞数の減少等に気を配り牛乳の生産,良質な牛乳の消費者への提供を目標に,これらの事をよく考えて乳房炎の防除対策に取り組んでいきたいと思っています。
 さらに,上記以外に全農家の牛舎消毒(5月・8月・9月頃)も併せて予定しています。また,診療所では繁殖検診も行っていくこともしています。検診は各担当獣医師ごとに農家別に聞き取り調査を行い,繁殖台帳を作成しパソコンに入力し,繁殖障害の個体管理も行っています。この台帳を印刷し各農家別に配布し,誰にでも内容が分かるようにしています。そして,約1〜1.5ヶ月毎に定期検診(調査)を行い空胎牛が1頭でも減少するように協力し合いながらやっていこうと思っています。