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〔普及現場からの報告〕

地域をリードする繁殖和牛経営事例

真庭農業改良普及センター

1.はじめに

 真庭管内の肉用牛については,高齢化や収益率の低下に伴って年々農家戸数,飼養頭数とも減少の傾向にある。しかし,そのなかにあって規模拡大や牛群の改良によってなお高いレベルの繁殖経営を維持している農家も少なくない。そこで今回は湯原町の佐山牧場を紹介したいと思う。

2.地域の概要

 湯原町の農業は水稲を中心に,トマト,山の芋,そば等の栽培が盛んで,肉用牛については古くからの大産地であった。
 佐山牧場は湯原町西北部の種地区にあり,標高600m程度の山間部に位置する。

3.佐山牧場の経営概要

 経営主の佐山実氏は現在岡山県農業士,真庭農企業者クラブ理事,湯原町畜産振興協議会副会長,並びにまにわ和牛研究会会長の要職にあり,多方面で農畜産業の振興に尽力されている。

 (1) 営農の推移

 (2) 放牧状況

 8haの放牧場に4月下旬から11月末まで放牧している。対象牛は繁殖牛・育成牛を離乳後からの放牧とし,販売子牛は出荷まで舎飼いして徹底管理している。放牧効果としては管理の省力化はもちろんのこと,足腰が強く,胃袋の強健な食い込みの良い牛になり,耐用年数の延長につながっている。

 (3) 飼料給与

  1)成牛  放牧期には補助飼料の給与はしていない。舎飼い期はオーチャードあるいはトウモロコシサイレージを5〜8s/日,イタリアン乾草5s/日,ふすまを1.5s/日給与している。さらに分娩1ヶ月前から離乳時まで繁殖配合飼料1〜2s/日を牛の状態を見ながら増し飼いしている。
  2)子牛  昨年試験的に生後15日目から2週間朝夕2回の制限哺乳とし,その後自然哺乳に戻したところ,分娩後初回授精までの日数が62日となり,従来の平均日数98日に比較して大幅に短縮した。子牛の発育については初期に若干の発育遅延があるものの,出荷時までには回復したことから現在では更に制限哺乳開始時を早め,分娩1週間後からとしている。

 (4) 出荷成績

 12年度の子牛出荷成績は次のとおり。

4.おわりに

 今後の抱負として規模は現状を維持しつつ,育種価の高い牛群に改良して,全国的に通用する牛作りを行いたいとのことであり,今後の活躍を期待している。