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強酸性水の酪農への利用について

岡山県総合畜産センター 酪農科 秋 山 俊 彦

 最近,微生物に対して殺菌効果を有する「強酸性水」が農業・食品加工・医療の分野で注目されています。そこで,従来の殺菌剤に代わり「強酸性水」が搾乳システムの衛生管理に適用できるか検討しました。
 「強酸性水」は,市販の食塩を加えた水溶液を電気分解して得られる,pH2.2〜2.7の陽極水です。その特徴は表1のとおりです。

 今回は,この殺菌作用に注目して,パイプラインミルカー殺菌への利用の可能性を探るため,生乳中の細菌に対する殺菌効果を調査しました。
 生乳を,10倍,100倍,1000倍に薄め,通常使用されている次亜塩素酸ソーダ水,「強酸性水」,滅菌精製水を加えたところ表2のようになりました。

 一般生菌数は,10倍に薄めた生乳では,次亜塩素酸ソーダ水に比較して「強酸性水」は,殺菌効果が劣るものの100倍,1000倍に薄めた生乳では,次亜塩素酸ソーダ水と同等の殺菌効果を示しました。これは,10倍に薄めたものはまだ有機物が多く含まれており,「強酸性水」の殺菌効果を減少させたものと考えられます。しかし通常では,洗浄の段階で生乳成分は洗い流されているため,「強酸性水」は次亜塩素酸ソーダと同等の効果があるものと思われます。
 一方,大腸菌群数についてみると,「強酸性水」は,次亜塩素酸ソーダ水と同等の殺菌効果が認められました。

 「強酸性水」は,各種細菌に対する殺菌効果が認められるだけでなく,有機物と接触すると水に戻るため,従来の殺菌剤と比較して環境に対する負荷が少ないという長所を持っています。
 次号では,「強酸性水」のパイプライン(ステンレス)及びライナー(ゴム)へのさび腐食等の影響について報告します。