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〔共済連便り〕

家畜診療日誌

岡山西部家畜診療所  森 本 高 輝

 まず最初に私ことで,恐縮であるが,共済暦約20年になるが,本年4月に初めて備中地域に転勤となった。当家畜診療所管内は,賀陽町など一部酪農地帯もあるが,なんと言っても,和牛地帯である。この地区で,主に診療依頼が入って来るのは,和牛子牛の下痢症である。とにかく,毎日のように電話がかかってくる。今回はこの下痢症でもっとも診療依頼が多い白痢について,取り上げてみたい。子牛下痢症の約半数が白痢である。多発するのは,多頭飼育の農家・多くの子牛が混在している農家・牛舎に湿気が多い農家・母牛に濃厚飼料を比較的多給している農家・ワクチン接種をおこなっていない農家などが上げられる。この白痢,遠く昔には,ほとんど見られなかった病気。なぜ最近は,多く発生するのか?@多頭飼育 A育種改良・飼料の品質向上などによる母乳の量・乳質の変化などが誘因として考えられる。
 以上のことから白痢を発症する以前には,母乳に対する消化不良,またそれに起因する乳糖不耐症(母乳の乳糖を分解できなくなる病気)の存在があるように思われる。
 ということは,母乳や代用乳を飲んでいる間は,白痢の発生率は高いことになる。
 最近では,下痢の発症を減少させるために,超早期離乳(母子分離)を実施している農家もある。しかし,小規模な農家では,現実的には難しいようである。それは哺育管理が大変だからである。したがって白痢は一向に減少しない。白痢の治療法としては,特別な方法はないが,やはり早期に断乳を実施することが早く治るようである。しかし,発症直後から実施する人は少ない。実際,管理が大変であり,治癒後に再度,母牛につける時が大変である。一度に戻したり,たくさん飲ませたりすると,ふりだしに戻ってしまう。徐々につけていくしかない。こじれるとタイミングがむずかしい。こんな子牛が数頭いると,農家の人も担当獣医師も大変である。できるだけ白痢が発症しないようにするしかない。
 では,白痢はどのように,予防したらいいのか。ワクチン接種である。かなりの確率で発生率は減少し,仮に発生しても比較的軽症で治癒する。今後もより有効な予防方法が望まれる。