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遊休農地を活用した和牛放牧について

岡山県総合畜産センター
和牛改良部生産技術科 研究員 山本 康廣

1 はじめに

 最近の県内の農地利用状況を見ると表1のとおり,かい廃面積のうち耕作放棄地が平成7年度以降,1,000ゥを越え,放棄された農地の荒廃化が進行し,深刻な問題となっています。これら農地の有効利用を図るため,総合畜産センターでは和牛を用いて遊休農地の草地化に向けた試験に取り組んでいます。

2 遊休農地活用事例について

 (1) 総合畜産センターでの事例

 当センターでは,平成11年度から「中国山地の基盤を生かした酪農・肉用牛生産技術の体系化」に取り組んでおり,荒廃地の草地化を検討するため,不耕起造成後10年以上経過した低利用草地にワラビ区,灌木区を設定して,和牛放牧による草地の再生化試験を実施しています。
 試験状況は表2のとおりですが,ワラビ区では裸地化の進行,ワラビの被度低下等から蹄耕法による草地化は可能と考えられ,また灌木区では,退牧後,放牧時にできた「牛道」を利用して樹木の伐採作業をするとともに「牛道」にシバを植え付けることで草地化は可能と考えています。

事例写真(総畜の事例写真)

3 県内の事例

 遊休農地の放牧利用を普及推進するため,本年度から当センターの技術指導のもと,表3のとおり県下5カ所において,電気牧柵を利用した和牛放牧を実証展示しています。
 また,8月1日には当センターにおいて「遊休農地を活用した和牛放牧検討会」を開催し,和牛放牧実証展示農家5戸の現状報告並びにアドバイザーとして招いた近畿中国四国農業研究センター畜産草地部の高橋主任研究官による中山間地活性化の事例紹介,参集者との総合討論を行いました。参集者からは,電気牧柵を利用した省力的な和牛放牧方法,放牧による荒廃地の草地化技術等について活発な意見が出され,関心の高さが伺われました。

4 終わりに

 遊休農地の活用方法の一例として和牛の放牧事例を紹介しましたが,遊休農地面積は農業従事者の高齢化等により,確実に増加する傾向にあります。その対策として国等の試験研究機関においても,積極的に研究されており,平成15年度から新たな取り組みとして,「放牧による中山間地域の農用地保全・活用システムの活用」が研究課題として取り上げられる予定になっております。柑橘類,栗等の樹園地での下草管理を含めた和牛の周年放牧技術の確立を目指して,当センターにおいてもこの課題に積極的に取り組んでまいりたいと考えています。