ホーム>岡山畜産便り> 岡山畜産便り2001年11・12月号 > 安心・安全の「千屋牛」をどうぞ |
いよいよ鍋の季節,牛肉を食べると力が出る,元気が出る,そしてリッチな気分になれる。がんばろう県産牛肉,それゆけ「千屋牛」。
BSE(狂牛病とはなんと悪い通称だろう)の風評に屈してはなりません。岡山県で生まれ,岡山県の生産者の手によって育てられた県産牛は,もともと安全牛なのです。
というわけで,今回は「千屋牛」のブランド化のお話です。
何を今さら,すでにブランドじゃないの,という声が聞こえてきそうですが,今回ご紹介する千屋牛は以前にも増して,よりパワーアップしてますよ,どうぞたくさん食べてくださいよ,というお話です。
『千屋牛』に関するキーワードはいくつかあります。「竹の谷蔓」,「太田辰五郎」,「第十三花山」,「阿新地域」,「高級和牛肉」,「千屋牛追い唄」……,つまり歴史と伝統ですね。このたびこれらに「NON-GMO」(非遺伝子組み換え),「PHF」(収穫後農薬不使用)……つまり「安全・安心」というキーワードが加わりました。阿新地域の和牛繁殖農家のみなさんから肥育関係者そして流通関係者へとつながる信頼という横糸が,がっちりと歴史と伝統という縦糸へ絡んだのです。
そして去る平成13年8月7日,新「千屋牛」の初出荷式が管内の肥育農場にて,関係者多数出席のもと盛大にとりおこなわれ,5頭の肥育牛が出荷されました。
話は約2年さかのぼります。
そこには,消費者に安心できるものを食べていただきたい。そして,阿新地域の生産者のみなさんにますますがんばっていただきたい,という願いが込められています。
1 平成11年9月,「千屋牛ブランド化推進研究会」の設置 |
国際化,産地間競争の進む中,また消費者の食に対する安全・安心・本物志向の高まりを受け,和牛の里・阿新地域の伝統ある「千屋牛」のブランド化を更に推進し,農家経営の安定が図られないものかという発想から,関係者により研究会が設置されました。
2 安全・安心「千屋牛ブランド化」の5つのコンセプトを決定 |
安全・安心・本物志向の消費者ニーズに対応するため,研究会において検討した結果,
① 岡山県の代表的な優良肉質和牛「千屋牛」の血統を受け継いだ「黒毛和種」
② 衛生的な牛舎「カーフハッチ」等で健康第一に留意してほ育した「健康牛」
③ 肥育期間中の飼料には抗生物質・ホルモン剤を含まない「安全牛」
④ 阿新地域内で繁殖・肥育一貫生産した「信頼牛」
⑤ 非遺伝子組み換え・収穫後農薬不使用穀物により肥育した「安心牛」
以上5つのコンセプトを決定し,飼育体系などを作成しました。
3 平成12年2月,「千屋牛振興会」を設立 |
5つのコンセプトでの生産出荷体制を堅持し,販売ルート・消費者に対するPR活動,生産技術の研鑚等の事業を行うため,新しいブランド化の推進母体「千屋牛振興会」(事務局:阿新農協農畜産部内)を設立しました。
4 平成12年2月,NON - GMO・PHF 飼料の給与を開始 |
「千屋牛振興会」の設立と同時に,阿新農協管内の4農場において,育成期を「カーフハッチ」等で健康的に過ごした阿新産の子牛の肥育が開始されました。
肥育用の飼料は,全農から購入した NON - GMO(非遺伝子組み換え)・PHF(収穫後農薬不使用)飼料が使用されています。
5 平成13年8月,5つのコンセプトでの新「千屋牛」が初出荷 |
肥育用飼料をNON - GMO・PHF 飼料に切り換えてから,待つこと1年と半年,小さかった子牛も順調に大きくなり,生後約28ヶ月の出荷月齢を迎え,“初”出荷されました。ちなみにこの5頭は,来年岐阜全共でも活躍が期待される,「利花」号の子どもたちでした。
現在,「千屋牛」は「千屋牛振興会」が指定した販売店・飲食店で取り扱われ,好評を得ています(指定店は事務局にお問い合わせを)。もちろん狂牛病の影響はありますが,関係者一同がんばっています。ぜひ阿新地域に足を運んでいただいて,ご賞味いただければと思います。
当面の出荷目標は年間700頭出荷で,事務局を中心に関係機関とともに巡回し,生産体制のチェックを怠らないようにしています。また販促資材を作成しPRにも心がけています。
狂牛病騒ぎの影響もありますが,阿新地域では学校給食に「千屋牛」を,という計画があります。このことは,なによりも地域内一貫体制という信頼できるシステムが評価されているのだと思います。
これからも消費者と生産者にパワーを与える「千屋牛」にご注目ください。