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「味覚の最上のものを醍醐味という」そのだいご味とはどういうことなのか。
・・・乳にり因て酪を生じ,酪に因りて 生酥を得・・・
・・・生酥に因りて 熟酥を得,熟酥に因り, 醍醐を得・・・
・・・善く衆生の,熱悩乱心を治す・・・
・・・それ小醍醐と名づけ世間第一の上味となす・・・
―大般涅槃教より―
※生酥とは,ちち酒
「牛乳の味に五種の区分となす。これを五味と言う。先ず初めて搾れる乳を乳味という。最も淡白なり。乳味よりとれる第二の乳を酪味という。やや濃厚なり。酪味よりとれる第三の乳を生酥味という。生酥味を更に精錬されて濃厚なるものを醍醐味という。甘最も良し」
「衆病を療治するにもっぱら乳をもってす。亦復病起の根源を知らず。一切の諸患に悉く乳を服するを教う」
また,「諸薬の中に醍醐第一なるが如し。善く熱悩乱心を治す。一切の病者,皆乳薬を服して病悉く除癒するが如し。驚悸,心熱,頭痛を去り,目を明らかにし,脳の頂心に伝う」と教えている。
お釈迦様が,心の安静はむしろ健全な肉体より得られると悟り,難行苦行を捨て,村人の捧げた牛乳の粥で衰弱した体を回復したという。その教えが,すなわち,大般涅槃教であります。
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イギリス史上一大汚点といわれている南阿戦争(1898-1903),(別名ボーア戦争,南アフリカの世界第一のダイヤモンド鉱や金鉱に目がくらみ,戦争をしかけて征服した。)のとき,派遣されたイギリス兵が,南阿のボーア人(オランダ人の子孫)に比べ,体力の貧弱さを嘆き,法律でもって,学校で毎日牛乳を給食したという。
南阿戦争の時の従軍記者であった,後のイギリス宰相チャーチルは,首相を辞任するときの一節に「乏しい財政のなかから学校給食で牛乳を飲ました」と胸を張って述べたとも言われている。徒に他山の石としてよいであろうか。日本でも無料で毎日牛乳を給食したらよいのではないか。
ハウザー博士は,著書の中に「食事のとり方一つで若さも美しさも自分のものになる」また,彼は「牛乳は完全食品で,これだけあれば大丈夫」とも言っています。かの有名なクレオパトラは,牛乳風呂に入って玉の肌を磨き,アントニウスの寵愛を受け,結託して古代ローマと戦い,アクティウムの海戦に敗れて自ら毒ヘビに身をかませ,歴史は変遷していくのであります。
試みに「醍醐味」を今はやりの英語でどういうのかと,愛用の和英併用辞典(昭34年版)で見てみますと「highly refined milk」と日本英語で書かれていました。「牛乳を高度に精製したもの」正しくそのとおりであります。
醍醐天皇(879-929)の時代に,医薬用として諸国から酥を貢がしめている。酪は酥は,現在のクリームに相当すると思われ,醍醐はヨーグルト,クリームチーズに類するものでしょう。
皆さんが,完全栄養を持つ牛乳を存分に飲んで,いつまでも若く,いつまでも美しく,そして長生きしましょう。
近代の女性は,風呂上りに牛乳を飲み,最後の一滴を顔や手にパックし寝室に向かうという。