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〔地域情報〕

キーワードは,「環境」と「土づくり」
川上村堆肥センター本格稼働!!

真庭地方振興局農林水産事業部農業振興課畜産係

 岡山県でも最北端に位置する川上村は,基幹産業が農業と観光であり,特に農業は,その粗生産額の半分を酪農が占め,観光産業においてもジャージー牛の放牧風景が大きな役割を果たしています。その一方で,畜産業におけるふん尿処理は,年々深刻さを増しており,今後畜産業を継続していくためには,避けて通れない問題となってきていました。
 このような状況の中で,川上村では,平成8年に畜産に起因する環境問題,地力低下による農業生産基盤の脆弱さを克服するため,堆肥センターを建設する構想を立ち上げました。試行錯誤を繰り返しながら,昨年5月,川上村堆肥センターは,県内でも珍しい液肥化処理施設をも備えた堆肥センターとして稼働を開始しました。
 堆肥センターは,村内で発生する家畜ふん尿の約半分を処理する能力を持っています(ふん20t/日,尿10t/日)。ふん尿は,畜産農家が自分で搬入するほか,堆肥センターの職員が収集して回ります。収集は,開放型と密閉型のコンテナが搭載できるダンプトラックと,バキュームで行っており,特にふん尿の水分が高い農家の場合には,密閉型のコンテナで収集することにより,道路への落ふんを防いでいます。
 農家から運搬,収集されたふん尿は,まず密閉横型発酵機へ投入されます。この方式を採用したのは,堆肥化の際,初期段階で発生する悪臭の周囲への拡散を防止することが可能であるからです。発酵機内の悪臭は吸引され,液肥化処理水に通して脱臭するシステムとなっています。発酵機内の発酵温度は,平均60℃で,生ふん投入から3〜5日で排出されます。その後,週に1回の切り返しによる堆積発酵を経て製品堆肥となります。堆積期間は約120日間です。
 堆肥化の際,最も重要となるのは水分調整ですが,ここでは,オガクズ,乾草の他,長期に渡り安定的に確保できる副資材ということで,戻し堆肥を選択しています。一般的に戻し堆肥は,特に冬期には,水分が高いという欠点がありますが,その問題克服のため乾燥機を導入しています。乾燥機のランニングコストはオガクズ購入費とほとんど差がなく,現在フル活動中です。
 堆肥センターのもう一つの特徴である液肥化処理施設ですが,自然流下式牛舎からの液状ふん尿の他,牛尿も処理しています。処理方法は,活性汚泥法を利用したもので,長時間曝気した後,液肥として,圃場に散布します。長時間の曝気処理により,散布時にはほとんど悪臭がありません。さらに,発酵機内の悪臭を処理中の液肥に接触させることで,液肥中に悪臭を吸着させ脱臭を行い,悪臭の成分も液肥として活用しています。
 稼働開始から9ヶ月,試行錯誤を重ねながら,今春からの堆肥の販売に向け,製品堆肥を生産中です。先頃,川上村堆肥センター運営委員会も開かれ,製品のPR方法や価格の設定,堆肥の名称などが決定しました。蒜山地方は蒜山大根や米など,高品質な農産物の生産地帯でもあります。地力低下が否めない昨今,地域の土づくりを推し進め,資源循環型農業の中核的な存在として,川上村堆肥センターは,畜産,耕種両農家の期待を背負い,今日も稼働しています。