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〔普及現場からの報告〕

酪農経営におけるカウコンフォートへの取り組み

高梁農業改良普及センター

はじめに

 最近,乳用牛の生活環境(カウコンフォート)を改善し,健康や生産性の向上を図る取り組みが行われつつあります。今回は高梁管内でのカウコンフォートへの取り組み状況を紹介します。

1 連続水槽への改善(北房町S牧場の場合)

 搾乳牛では1日140〜170gの水を飲みますが,現在,多くの酪農家で使われているウォーターカップでは@多くの牛が飲水する場合水圧低下による吐水量不足A競合による弱い牛の飲水量不足B清掃が困難等の問題点があり,牛が飲みたい時に飲みたい量をいつでも飲めるようにする必要があります。
 そこで,ウォーターカップの代わりに細長い水槽を牛床の前に設置するいわゆる連続水槽を設置し,飼料の食い込みを多くし,乳量の増加を図ろうとS牧場では平成13年7月に連続水槽を設置し,あわせて繋留方式もニューヨークタイ方式に切り換え,乳牛の快適性向上に努めています。(写真−1)

2 牛床マットの改善(備中町M牧場の場合)

 牛舎では,コンクリート床やクッション性がなくなったマットを見ることがあります。
牛床が固かったり凸凹があると蹄や関節への負担が大きく,特に寝起き時の関節(前膝や飛節)へのダメージが大きくなります。快適な牛床は,クッション性が高く,関節の擦り傷や腫れがなくなり,頻繁に横臥できることがポイントです。
 M牧場では,平成13年12月にクッション機能(マットレス)と耐久機能(マットを覆うトップカバー)が分かれている特徴を持つゴムチップマットレスを設置し,関節への負担軽減に取り組んでいます。(写真−2)

まとめ

 この取り組みは,目に見える結果がすぐに出るものではありません。今回紹介した事例もまだ取り組み始めたばかりですが,ストレス軽減→採食量UP→生産性向上の流れは理にかなっており,長い目で見ると酪農経営上プラスになっていく取り組みです。