ホーム岡山畜産便り > 岡山畜産便り2002年3月号 > 地域で酪農経営と畜産環境の改善に取り組む

〔普及現場からの報告〕

地域で酪農経営と畜産環境の改善に取り組む

〜建部町酪農組合〜

岡山農業改良普及センター

○ はじめに

 現在,酪農経営においては,安全で高品質な牛乳の低コスト生産が求められる一方,「家畜排せつ物法」により平成16年10月までにふん尿処理の適正化を図ることが義務づけられています。
 こうした中,建部町酪農組合(15戸)では酪農経営と畜産環境の改善に,組合員一丸となって取り組んでいます。

○ 建部町酪農組合の活動

 (1) 乳牛ドックと牛舎消毒の実施

 岡山家畜保健衛生所を中心に関係機関と連携し,乳房炎対策をメインテーマに「乳牛ドック健康検診」(個体の乳汁・細菌検査等)と巡回指導,研修会を行っています。
 また,年3回全戸牛舎消毒を行い,ハエ防除と衛生環境の改善を行っています。

(写真1:乳牛ドック)

 (2) 畜産環境の改善と良質堆肥の生産

 平成8年度から13年度にかけて「畜産基盤再編総合整備事業」により草地の造成,飼養管理,草地管理機械の整備とあわせ,ふん尿処理・堆肥化施設機械の整備を行いました。
 平成12年度からは「有機資源ネットワーク21推進事業」により,JAみつで堆肥散布機械の整備を行うとともに,堆肥の成分分析,堆肥投入効果実証等を実施するとともに,良質堆肥生産に向け技術向上を図っています。

(写真2:堆肥舎)

 (3) 消費者との交流推進

 組合員有志で設立した旧囎買ーグルトを核に町内外イベントでのヨーグルトのPR販売の他,夏休みには町内小学生を対象とした「子ども長期自然体験村」で乳搾りやバターづくり等牧場体験の受入も行っています。

(写真3:乳搾り体験)

○ 活動の成果

 共通の課題に取り組むことで改善意欲が高まり,成果が徐々に現れてきています。
 特に,ふん尿処理施設はほぼ全戸で整備され,良質堆肥生産の基盤が確立されました。
 また,消費者との交流を通して酪農家に対するイメージアップが図られています。

○ おわりに〜今後の方向

 今後もこれらの取り組みを継続していくとともに,良質堆肥の生産と耕種農家との連携をさらに進め,地域での堆肥供給利用システムの確立を目指していくことにしています。