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〔地域情報〕

鶏糞処理は「炭」がキーワード

阿新地方振興局農林水産事業部農業振興課畜産係

○はじめに

 石炭,木炭,竹炭,,,,,炭にもいろいろありますが,畜産農家の身近なところにも原料となるものが転がっています。それは“畜糞”。この,畜産業とは切っても切れない関係にあるものが何と炭になってしまったのです。
 これは,阿新地域他の養鶏農家で構成される農事組合法人「あいさん」が,組合員の農場から出る鶏糞を利用して作ったもので,畜糞処理の新たな取り組み事例として,皆さんに紹介します。

○何で炭なの?

 同組合では元々,農場毎に鶏糞を堆肥化処理し,それぞれが農業用資材として販売していました。しかし,家畜排せつ物法施行による影響もあってか,堆肥の販売競争は激化。販売価格も下落の傾向にあり,組合員の間では「このまま堆肥の生産を続けてもいつか販売に行き詰まる日が来る」と不安がる声が出ていました。そこで注目したのが「炭」だったのです。
 皆さんもご存知のとおり,炭には脱臭,除湿,水質浄化,土壌改良等さまざまな効果があり,組合の中にも「卵黄の臭みが消える」等として,木炭を飼料に混ぜて利用していた組合員がいるほどでした。
 もし鶏糞が炭になれば,これまでの農業用資材以外にも,脱臭剤など工業用にも用途が広がります。どうせ作るなら用途の広い方が販売先も増えて良い,ということで鶏糞の炭化処理施設導入を決定したのです。

○施設の概要

 施設は畜産振興総合対策事業(国庫)を利用し,総事業費1億1700万円で建設されました。
 事業には哲多町,哲西町に農場を持つ4名の組合員が参加し,哲多町の組合員が自家農場内の土地を施設設置場所として提供しました。施設床面積は840uとなっています。
 もちろん処理原料は各農場で排出される「鶏糞」。各農場で水分60%に1次処理された後,日量5.5tが施設に持ち込まれます。
 処理は,造粒,乾燥,炭化の3工程に分類され,造粒機で粒状に固めた後,水分30%程度まで乾燥させ,炭化炉にて700℃前後で蒸し焼きにします。投入後の処理は全て自動で行われ,できた製品は粒状のため取り扱いやすいのも特徴です。

施設外観
炭化設備
製 品 炭

 また,この施設で注目すべき点は,炭化処理の際の焼却熱を熱源として利用できること。施設を設置した農場では堆肥の発酵促進として,灯油バーナーで熱風を起こし,発酵促進に使用していました。しかし,炭化施設からの熱を1次処理用の堆肥舎に配送することにより,バーナーに代わる新たな熱源として利用されています。

○おわりに

 現在の不安は,やはり販売先の確保。これまでに脱臭剤原料としての引き合いがきていますが,いかに年間を通じて安定した販売ルートを確立するかが施設運営の鍵になります。炭の効用は理解されていても,新商品であるために不安定な要素もあります。しかし,組合員からは「炭は必ず注目される。いいものを作り早く安定供給につなげたい」と力強い発言も出ています。彼らの今後の取り組みに注目を!