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近赤外分析法(NIRS)による栄養成分分析について

岡山県家畜病性鑑定所 妹尾 文雄

 畜産農家で生産される粗飼料や堆きゅう肥の成分分析を迅速に行い,給与飼料の成分計算や施肥における肥料計算等に反映させる目的で,近年,近赤外分析法(Near Infrared Reflectance Spectroscopy : 以下,NIRS と略す)による成分分析が実用化されている。
 この方法の特徴は,化学分析において行う試料の乾燥・粉砕等の作業は必要であるが,この後は,ごくわずかな時間で目的とする成分を一度に測定できることである。また,NIRS による分析は,近赤外線が物質中の化学的結合物に特異的に吸収される性質を利用したものであり,比較的多量に含有される有機的成分や水分等に対する応用性は非常に高いが,反面,微量な含有物質や無機物等に対する応用性は非常に低いと云われている。
 現在,当所で使用している NIRS のスペクトル数は,粗飼料が238点,堆きゅう肥(牛のみ)が85点であり,これにより,検量線を作成し,日常の分析を実施している。図1は検量線に用いているスペクトルであり,それぞれの物質が持っている特徴がはっきりと区別できる。
 今回,両試料とも20点のサンプルを用いてNIRS 及び化学分析を平行して実施し,それぞれの成分の現時点における分析精度について検討した結果が表1,表2である。相関係数は粗飼料で0.973〜0.914,堆きゅう肥で0.967〜0.760の範囲となり,検量線作成時とほぼ一致していることが確認され,検量線作成時の精度での分析が可能であることが判った。しかし,検量線の信頼性を判定する基準としてのEI(評価指数)では,粗飼料が12.9〜26.4%,堆きゅう肥が13.7〜30.24%となり,現時点で粗飼料においては精度が高いが,堆きゅう肥は今後さらにサンプル数を増やし精度を高める必要があることが示唆された。

図1 スペクトル(左が粗飼料、右が堆きゅう肥)