ホーム岡山畜産便り > 岡山畜産便り2002年5・6月号 > 有機資源の拠点(新庄村堆肥センター)

〔地域情報〕

「有機資源の拠点(新庄村堆肥センター)」がまたひとつできました!

真庭地方振興局畜産係

はじめに

 「家畜排泄物管理の適正化及び利用の促進に関する法律」が施行され,早2年半が経過し,施設整備にかかる猶予期間も後2年半後に迫ってきました。当真庭地方振興局管内でも,この法律の施行に伴い,着々と家畜排泄物の処理施設の整備が進んでいます。
 この度,新庄村管内一円を対象とした「新庄村堆肥センター」が完成したので,その概要について紹介します。

堆肥センター竣工式

地域及び施設の概要

 真庭郡新庄村は「メルヘンの里」というキャッチフレーズで親しまれ,岡山県最大のブナの原生林や旧出雲街道宿場町のがいせん桜等豊かな自然環境に恵まれた地域で,数年後には野土路トンネルによって蒜山地域と結ばれ,人や物の往来が盛んになることが予想されております。さらに,今年度から村内の宿泊施設を高等学校の学舎として開放し,土とのふれあいを通じた人間教育に積極的参画するなど,村をあげて自然や地域資源を生かそうとする取り組みがなされています。
 地域の基幹産業は農業で,そのなかで酪農家7戸,肉用牛農家24戸が畜産経営を営んでいますが,この豊かな自然環境と持続的な畜産経営との調和した村づくりに向け,新庄村では村内すべての家畜糞尿の有機資源化を図る「新庄村堆肥センター」を建設し,去る4月30日に関係者各位の出席のもと竣工式が挙行されたところであります。この施設は,資源リサイクル畜産環境整備事業(国庫)を利用し,総事業費1億9千万円で整備されたのもので,その内容としては,堆肥舎2棟,乾燥舎1棟,農機具庫1棟,袋詰機1基,堆肥運搬・散布・積込機等計8台となっており,これらの施設・機械を「グリーンガイア」(意味は母なる緑の大地で,正式名称:新庄村堆肥生産組合)に管理委託し,この秋頃から堆肥の出荷が始まる予定です。

堆肥詰込機 堆肥運搬機

 堆肥の生産方式としては,糞尿の水分調整後にホイールローダーによる定期的な切り返しと通風ブロアーによる強制発酵が主体のオーソドックスなスタイルですが,天井や壁面の上部が透明な波板ポリカで施工されており,これは,太陽熱の有効利用による堆肥の表面蒸散を考えて取り入れられたもので,内部はとても明るく,堆肥舎としては珍しく清潔なイメージを兼ね備えたタイプとなっています。さらに,堆肥舎上部には牛舎にみられるような扇風機が設置されており,より一層の水分蒸散を促すことで,低水分の戻し堆肥を生産することが可能な施設となっています。

堆肥センター内部(透明な屋根及び壁面)

終わりに

 この度の堆肥化施設の整備は,新庄村内で生態系重視の有機農業を展開する上での第一歩であり,今後の堆肥生産や利用等,施設を運営していく上で多くの課題が待ち受けていると思われます。「グリーンガイア」の努力と活躍により,これらの課題が克服され,新庄村特産である「ひめのもち」の他多くの農産物がこだわりの有機産品として消費者に認識されるよう

頑張れ「グリーンガイア」!