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〔共済連便り〕

家畜診療日誌

岡山中部家畜診療所 田村 展敏

 毎年,我が中部家畜診療所管内の建部地区においては乳牛ドック健康診断という事業を計画し,昨年度より乳房炎防除対策を岡山家畜保健衛生所を始め,酪農組合(12戸),家畜診療所が協力して実施しています(平成14年度も継続中)。この事業の目的は乳汁中の体細胞を減少させ良質乳の生産を行うことで,特に黄色ブドウ球菌(以下SA)の汚染率の調査と排除を行うことを主なテ―マとして行っています。
 まず,乳房炎防除対策の基本として,酪農家の人達がすでに良く知っている事ばかりですが@正しい搾乳とミルカ−の点検A乳頭デイッピングB臨床型乳房炎の治療C乾乳期の治療D乳房炎による問題牛の盲乳処置・淘汰Eその他の適正な飼養管理に心がけるよう指導し,さらに,日常作業上の乳房炎予防のために@前搾りによる異常乳の確認(PLテスタ−にて検査)A搾乳順序は乳房炎のない若い牛→老齢牛→乳房炎経験牛→乳房炎牛B乳頭デッピングを実施するよう声をかけて歩いています。
 そして慢性あるいは潜在性乳房炎の摘発について,6月に管内酪農家の搾乳牛508頭をPLにより検査し,++以上の凝集反応を示すもの87頭について,その乳汁を試験管にサンプリングし家畜保健所で細菌培養し,その後細菌の同定や薬剤感受性試験を行い乳房炎治療時の薬剤の選択の一助とした。また,11月にはSA検出農家8戸において,SAの牛群への浸潤状況を確認するため288頭の再検査を実施しました。
 検査結果より,管内でのSA感染牛および感染率は6月21頭(約4%),11月22頭(約13%)と高い値を示していました。薬剤感受性試験の結果は,セファゾリン(以下CEZ)に感受性(約70%)を認めました。
 そして今回管内のSA感染牛に対し乾乳前に図−1に示すような治療プログラムを行ったところまずまずの成績が得られました。
 試験頭数:11頭中3頭+・5頭−・3頭不明

図−1 SA治療プログラム

 このプログラムの内容は,乾乳3日前より抗生物質のタイロシン(以下TS)を3日間の全身投与およびCEZ(泌乳期用)の乳房注入を併用し,乾乳時にCEZ(乾乳期用)を注入するという方法です。SA乳房炎は自然治癒例が少ないため,乾乳期治療が泌乳期治療に比べて効果的であると言われており,実際治療を実施した結果においても分娩後に排菌を認めず治癒した症例も多く認められ,今後においても推奨していくべき治療方法であると感じられました。