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〔肉畜基金協会便り〕

BSE(牛海綿状脳症)関連対策事業等の取組みについて

社団法人 岡山県肉畜価格安定基金協会

 昨年9月にわが国ではじめてBSEの発生が確認されたことにより、牛肉の消費量は急激に減少し、牛枝肉価格も大幅に落込みました。
 子牛価格についても、全品種とも暴落し、特に黒毛和種については昨年12月から今年3月までの間、全国平均が20万円台に落ち込むなどその影響は計り知れないものがありました。
 その後、牛肉の産地偽装表示等社会問題となり未だ、消費者の牛肉に対する不安感を完全に払拭しきれない現状にあるものの、乳用種を除いて他の品種の子牛価格はいくぶん明るさが見えてきました。昨年度は、平成3年度からの牛肉の輸入自由化を受け平成2年度に発足した肉用子牛生産安定等特別措置法に基づく肉用子牛生産者補給金制度の重要性が再認識された年でもありました。
 昨年度、当協会が取組みました主要な事業概要は次のとおりです。

1)肉用子牛価格安定事業(肉用子牛生産者補給金制度)

 この制度は、人でいう生命保険みたいなものであり、いざという時に保証をしてもらえるものであり、平成13年度第1四半期以降の補給金単価は下表のとおりです。

 これら補給金の交付を受けるためには、当協会、生産者及び事務委託先となっている農協等3者による肉用子牛生産者補給金交付契約を締結していることと個体登録している子牛(生産者が生後2ヵ月令に達する日までに事務委託先に個体登録の申込を行い、6カ月令に達する日までに事務手続が完了した契約肉用子牛)であること等の要件が必要です。
 全体では、6,504頭に対し約4億2千万円余りの補給金を交付しましたが大半はBSEの発生による影響が大きくでました第3、4四半期に集中しております。
 また、黒毛和種については平成6年に低額の補給金が交付されて以来7年振りの交付となりました。

2)BSE関連対策事業(黒毛和種)

 これら対策として、国では補給金制度の関連事業である子牛生産拡大奨励事業の助成枠の拡大、県及び当協会では緊急措置として特別基金を設け補てん金を交付する事業に取組みましたが、これら概要は次のとおりです。

 ○子牛生産拡大奨励事業(国)

 全国の黒毛和種の平均売買価格が35万円を下回った場合、奨励金が交付される事業ですが、これまでは交付対象者は前年度に繁殖雌牛の飼養頭数を増頭しているか、同じ頭数を維持していることが条件となっていましたが、頭数を減少した生産者も奨励金の交付対象者となったことさらに、奨励金の単価が拡大者の高い方の単価に引き上げられるなどの実施要領が改正されました。
 なお、これら特例措置の期間は当初平成13年10月1日から平成14年3月31日に設定されていたが、更に平成14年度まで1年間延長されております。

 ○岡山県子牛生産拡大奨励事業(協会)

 本来、この事業はヌキと雌子牛の売買価格の価格差が大きいことから、県総合家畜市場において雌子牛の売買価格が35万円を下回った場合奨励金を交付し、ヌキとの価格差を緩和したいということで平成13年度からスタ−トしております。
 BSEの発生に伴い、国の子牛生産拡大奨励事業で奨励金の交付対象外となった子牛、例えば、生産農家からの個体登録の申込があったにもかかわらず生産検査の遅れ等により登録が出来なかった子牛、また、黒毛和種以外の乳用種を借腹とした受精卵産子は対象外ということでこれら対象外となったものをヌキ、雌子牛に関わらず本事業で救済するため実施要領の改正を行いました。

 ○和牛子牛緊急価格安定対策事業(県、協会)

 県総合家畜市場における平均売買価格が保証基準価格(304千円)を下回ったため、特別基金より下表のとおり補てん金の交付を行いました。
 これら3事業による平成13年10月から平成14年3月期における奨励金の交付状況は下表のとおりで3,446頭に対し1億円余りの交付を行いました。

3)平成14年度事業計画

 表のとおり今年度の個体登録の計画頭数は、対前年実績比で113.8%としておりますが、先述しましたように補給金制度に加入していないと補給金なり奨励金は受けられない仕組みとなっており、不測の事態に備え、県内の肉用子牛は1頭も洩れなく全頭の登録を目指して頑張っていきたいと考えております。
 なお、今年度は特例措置として補給金等の交付がこれまでの四半期毎から毎月の交付へと変りましたが、いずれにしましても畜産経営の上からこの補給金制度は不可欠なものであり、県をはじめ各関係団体とも充分連繋をとりながら円滑な推進を図ることとしております。