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〔共済連便り〕

家畜診療日誌

岡山南部家畜診療所 岩原 幸治

 この4月,24年振りに南診(旧邑久診)へ転勤となった。いろいろ思い出されるがあの頃乳房炎が多かったが今も多発しており乳牛の職業病である。
 そこで減少さす方策として一つ提案がある。全国機械搾乳を禁止して手搾りにすること。そうすれば一農場において飼養頭数が激減する→頭数を確保する為には人手が必要で,雇用が生まれる→生産量が減少し乳価が上がる→酪農家数は増加し地域の発言力が強くなり,予算が増加する→糞尿処理が高額設備をしなくても可能となり,自給飼料で飼える→飼料を輸入しないからBSE,口蹄疫等が侵入しない→病気が激減し産業動物獣医師が失業する。結論から言うと我々が失業するので,“手搾りの様に機械搾乳をしよう”と言うことである。乳房炎は,牛の状態と環境条件が要因となり起因菌の侵入を許して発症する。乳頭刺激,搾乳時間,ミルカーの離脱着等,搾取というよりも,乳房内の果実(乳汁)を収穫する気持ちで又,奥様の..... 故きを温ね新しきを知る。
 昔から言えば,いろんな効率を追求し一農場当たり又一頭当たりの生産量が飛躍的に伸びてきた。当初述べてきた逆の現象が現在進行形である。今問題になっているBSE,偽装表示,牛乳回収再利用,糞尿の環境への影響等多くの事があぶりだされてきた。間違ったリサイクルによる肉骨粉,輸入飼料に依存した多頭化多生産,経済論理至上主義,効率の方向が目先の利潤に走り過ぎたのではないか。
 国は自給率の向上を目指し,大型専業農家の所得安定に政策をシフトしようとしている。中山間地域は直接支払い補償で手当て済みとしている。又小泉政権の聖域無き構造改革も遅々として進まず,国際的な信用評価も下げられた。土地の価格が下落し不良債権が増加したが,同じように牛の価格が下がり経営状態が悪化した。そして税金の使途が問題視されている。機密費,秘書給与,ODA(途上国援助)等取立ては厳しいが,出は不透明過ぎる。こうした政治の流れの中,農家は政策に沿う様にやってきたが,その成否はもろ農家にのしかかる。ODAの一部で肉など農産物を買い上げ,援助物資とならないものか。
 方向として,わが国の食料安全保障,均衡ある国土の発展,食の安全性,これらを主眼とした保護政策が必要ではないか。今(執筆中)サッカーW杯が行われているが,この国民の関心の高さを食料問題の議論にもあやかりたい。
 一方生産者も,清潔で安全な食料を供給しなければならない。
 額の汗も今は濁ってきたが,日本のエーゲ海は今も美しい。by前島フェーリー