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地域内での和牛肥育素牛や優良後継牛の安定的確保のため,JA勝英では,大規模・低コスト管理で経営する和牛繁殖センターを平成10〜11年度に農畜産業振興事業団の指定助成事業で整備しております。
飼養する牛が揃い生産子牛の市場出荷も安定してきましたので,その成績や新しい取り組みを含めた和牛繁殖センターの概要を紹介します。
当センターは,全国的にもまれな繁殖牛500頭の大規模経営で,繁殖牛の群飼育,子牛の早期離乳,自動給餌機による省力管理等が特色です。現在(7月7日)の飼養頭数は成牛495頭,子牛・育成牛が321頭です。
牛舎と飼養牛の概要は,表に示すとおりです。成牛は成牛舎で種付けし妊娠確認がされると妊娠牛舎へ移動します。分娩が近づくと妊娠牛舎から分娩牛舎へ移動させ分娩後7日まで母子同居させます。
子牛は生後7日程で母牛から離し人工哺乳し,70日で離乳して子牛牛舎に移動させます。その後,育成牛舎で飼育し出荷,自家保留します。
また,成牛舎,妊娠牛舎,育成牛舎に自動給餌機を設置して濃厚飼料の給餌に用いています。
平成13年度は分娩頭数450頭で,自家保留牛を除く子牛出荷頭数360頭でした。子牛の市場出荷日令は去勢274日,雌297日,出荷体重は去勢252s,雌247sでした。市場平均よりやや育成期間が長くなっていますが,早くから群飼されているため肥育経営において飼いやすいと市場で高い評価を受けています。また分娩間隔は361日となっています。
一方,飼料を全量購入にたよっているため飼料費が生産原価に占める割合が高いこと,また敷料に用いるオガ代が高くつくなど解決すべき課題もあります。
子牛の哺乳は多大な労力を要するため,自動哺育システムの利用を平成14年1月に開始しました。これはコンピューターにより個体毎の自動哺乳と人工乳(ペレット)の給与を自動にするもので,省力化と併せ多回哺乳による発育の向上,事故発生の減少が期待されています。
分娩時の事故の低減のために夜間給餌による昼間分娩(作業時間内)に取り組んでいます。分娩牛舎で給餌を21時の1回だけ行うことにより,昼間の分娩が従来に比べ増えました。夜間に給餌作業を行うことは省力管理に反することになるので,今後自動的に給餌できる装置の導入を検討しています。
管内は酪農が盛んであるため,酪農家の乳用牛に和牛受精卵を移植し,生産された子牛をセンターが買上げて哺育育成して出荷しています。ET産子の導入は成牛頭数を増やすことなく出荷子牛を増加させることが可能になります。平成13年度は新鮮卵,凍結卵併せて138卵を移植し57頭が受胎しました。平成14年度は,300卵の移植を予定しています。
平成13年度に堆肥乾燥ハウスを整備しました。乾燥処理された堆肥は奈義有機センターに搬出されていますが,よく乾燥されていることから水分調整材としても利用されています。また,今後,成牛舎等へ敷料としてもリサイクル利用して,オガ代の節約を図る計画もあります。