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乳房炎は,細菌・ウイルス等微生物の感染が原因ですが,生体・環境等の様々な条件が複雑に組み合わされて引き起こされます。これから迎える猛暑は,そして9月に入っての残暑は,潜在性乳房炎の発症など体細胞数が増加する要素が最も多い時期といえます。完全な予防法はありませんが,病原菌の乳房内への侵入メカニズムをよく理解し,正しい搾乳を行う必要があります。
病原菌が乳房内に侵入するのには,次の場合が考えられます。
ティートカップに空気が入った場合,著しい逆流現象を起こし,一度搾乳された牛乳が乳房内に逆戻りします。
搾乳後の乳頭口は解放した状態で乳頭口に付着した病原菌は容易に乳房内に侵入します。
過搾乳による乳頭口のひび割れ,めくれは乳房内への病原菌侵入が容易になるため乳房炎になりやすくなります。正しい搾乳により,できるだけ乳房内への病原菌の侵入を防止することが乳房炎予防の一番の近道といえるでしょう。
まず,搾乳を始める前に (1) 真空圧,調圧器の調子やパルセーターの音を確認する。 |
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前搾り (1) 乳頭を刺激してオキシトシンの放出を促す。 |
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乳頭の清拭 (1) 乳頭だけを拭きます。 |
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乳頭の乾燥(1) 清潔な乾いたタオル又は使い捨てペーパータオルを使用して乳頭表面を乾燥させる。(乳頭とライナーをしっかりと密着させるため) |
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ユニットを正しく装着 (1) 前搾りから1分後に装着する。 |
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ミルクホースの調整(1) 牛の体にホースを沿わせるように,フック等で調節する。 |
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ユニットを正しくはずす(1) ユニットをはずす前に真空圧を遮断して,自然に落下するのを腕で抱え込むようにする。 |
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ディッピング (1) 離脱したらすぐに乳頭の下から2/3以上に行う。 |
以前,体細胞数の少ない酪農家100戸にアンケートした結果によると,「日頃から特に潜在性乳房炎に注意している」が特筆すべき対策となっています。
乳房炎・体細胞数は牛に対する愛情の指標と考え,今一度搾乳方法を点検してみましょう。