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〔衛指協便り〕

ヨーネ病のまん延防止と清浄化のために
(ほ乳子牛の衛生管理の重要性)

岡山県家畜畜産物衛生指導協会

 ヨーネ病の発生はここ数年全国的に大幅に増加しており,岡山県でも多数発生しています。この病気は感染から発病まで1〜3年以上もかかる超慢性腸管感染症で,ワクチンはまだ開発されてなく,抗生物質の長期投与も完治は困難であるばかりか,菌が厚い脂肪膜に包まれているため消毒薬にも抵抗性が強く,予防治療,清浄化の困難な病気です。確定診断に多くの時間と費用を要するなど清浄化に長い期間と大きな経済負担を要するため,関係者は頭を痛めています。
 衛生指導協会では,BSEや口蹄疫を除くと最も重要な伝染病との認識のもとに,清浄化を推進するため,県のヨーネ病防疫対策を補完しながら,指定助成事業のなかで「ヨーネ病対策衛生管理マニュアル」等の配布や,自主検査・自主淘汰などの対策に取り組んでいます。
 本病防疫の基本は患畜の早期発見・とう汰でありますので,県は平成14年度から,乳用牛の全頭検査を2年に1回のサイクルで実施し,発生農場は3年間連続検査を実施するなど,今までの体制を大幅に強化し,まん延防止と清浄化をめざしています。
 本病は親子の間で感染する危険性が最も高いため,予防対策の手段として子牛の衛生管理が重要となっています。幼若子牛はヨーネ菌への感受性が特に高いことや,感染母牛の糞便で牛体や飼養環境が汚染され,初乳などを介し経口感染する危険性が高いためです。この病気の特徴として,間歇的な排菌や少ない排菌の病期があるため,健康と見えても乳頭をよく消毒して初乳を搾乳し給与することが大切です。また,面倒でも,初乳を65℃30分加熱すると初乳抗体の活性を保持しながらヨーネ菌を殺菌できます。乳頭を十分消毒しないまま搾乳したプール初乳を多数の子牛に給与することは,同時感染をもたらすたいへん危険な行為となりますし,子牛を通路等に繋養するのも感染牛の糞便が飛散し,汚染した飼料により感染することとなります。子牛は分娩直後に隔離しカーフハッチで個別飼育するのが理想的です。
 ほ乳期に感染牛と接触した子牛は感染している恐れが非常に高いので,ハイリスク牛と称され,自主的にとう汰したり肉用肥育に向けられることが勧められています。
 不幸にして感染牛が発見された場合,まず汚染拡大を最小限にとどめることが重要です。清浄化に要する期間は,汚染の度合,検査の回数,子牛の衛生管理の善し悪しに左右されるとされ,家畜保健衛生所が繰り返し行う検査や指導に併せ,ほ乳子牛への感染防止の徹底やハイリスク牛の自主淘汰などにより,早期に清浄化を達成することは可能であると考えます。