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〔特集〕

豚コレラ撲滅体制確立対策事業
〜ワクチン接種中止後4年目を迎えて〜

岡山県家畜病性鑑定所

 豚コレラウイルスを国内から排除しワクチンを使わずに清浄化を維持していくことを目的に平成8年度から開始された本事業は,今年度で7年目を迎えました。
 その間,都道府県知事の許可制による一部地域でのワクチン接種や口蹄疫の国内発生等情勢が変化してきているものの,清浄性確認状況調査において我が国は極めて清浄性が高いことが第8回豚コレラ撲滅全国検討委員会において報告されています。(表:平成14年4月末現在)
 岡山県は全国に先がけて平成11年4月1日よりワクチン接種を中止し,今年度で4年目になります。
その間,生産者・関係団体等への対策の周知徹底を図るとともに,農場の清浄性の維持・確認作業を行ってきました。
 ワクチン中止後,県内で飼養されている豚の豚コレラ抗体調査を平成11年度に1,327頭,平成12年度に1,303頭,平成13年度に801頭実施しましたので,その結果(図:抗体陽性率)を以下に示しました。


 抗体陽性率は平成11年度:32.7%,平成12年度:6.9%,平成13年度:4.8%と推移しています。
 抗体陽性豚は,ワクチン接種豚もしくは接種済母豚から生まれた移行抗体保有豚であることが確認されています。一般にワクチン接種豚は生涯抗体を持ち続けるため,それらがすべて更新されるまでワクチン抗体保有豚は存在し続けることとなります。
 抗体陽性豚を確認した場合,ワクチン抗体か感染抗体かの判断がポイントになります。しかし,それらの抗体の識別は困難であることから,日頃より飼養豚のワクチン接種歴,導入履歴,移行抗体の存在等を把握しておくことが大切です。
 今年になってから韓国やフランス,ドイツ等で豚コレラの発生が確認されています。海外への渡航や物流増に伴い,今後も感染機会が増加することが予想されます。ワクチン未使用で豚コレラが発生した場合の被害は,ワクチン使用時に比べ極めて大きいものとなると考えられますので,本症を疑うような症状(発熱,食欲不振,下痢,異常産等)を認めた場合は直ちに家畜保健衛生所に連絡してください。
 清浄化を維持していくためには,抗体調査による野外感染の監視や異常豚の豚コレラウイルス有無確認を厳重に推進していく必要がありますので,引き続き関係者一丸となって豚コレラフリーの維持に向け努力しましょう。