ホーム > 岡山畜産便り > 岡山畜産便り2002年9月号 > 〔普及現場からの報告〕 いつでも,どこでも放牧 |
阿新地域では,ソーラー電気牧柵(以下「ソーラー電牧」)を使った休耕田,遊休地への放牧が増えています。
放牧には,繁殖成績が向上する,手間が省ける,コストが下がるなどの利点があることを皆さん知っていますが,実際にやろうとすれば,柵の設置が困難,時間がかかる,まとまった土地が無いなどの問題で二の足を踏んでいたと思います。
しかし,ソーラー電牧を使うと経費も安く,設置が簡単で,効果が高いことに驚かされます。
(1) ソーラー発電器を使うので電源のないところでもできます。(バッテリーを使えば曇りや雨の日でも通電できます。)
(2) 牛が電牧線を危険だと覚えることで,効果が高く,長続きします。
(3) 牛が電牧に寄りかかったり,押したりしないので簡単な支柱を使うことができます。
(4) 支柱を深く埋め込まなくても良いため,設置に人手と時間がかかりません。
(5) 電牧線がワイヤーなので,一人でも張ることができて,イガ線と違い,握ってもけがはしません。
(6) 価格は,メーカーやシステム,材質により上下します。いろいろ研究してみてください。(1haあたり2段張りで17万円から30万円)
(1) 草があればいつでも,一人でも放牧地を囲うことができます。
(2) 牛が電牧線に慣れていれば,すぐ通電して放すことができます。
(3) 簡易施設やビニールハウス,木陰など簡単な日陰があれば,夏場の暑い時期でも放牧できます。
(1) 林の中でも,荒れた田畑や樹園地でも,採草地でも,棚田でも,転作田でも,どこでも放牧地に早変わりします。
(2) 傾斜地でも,小面積でも面倒な作業が無く,設置できます。
(3) ただ水源だけは必要です。水を引くか,水槽を置いて,自由に水が飲めるようにしておきます。
(4) ダニの駆除も忘れずに実行してください。
一度実際にやっている現場を見てください。簡単な設備で牛が逃げ出さず,効果が高いことに驚くことと思います。どんなに荒れた野草地でも,牛は草を食い尽くし,きれいにしてくれます。阿新地域では,現在5戸の農家が2.3haで実施しています。
ソーラー電牧を使えば,出張放牧,移動放牧,巡回放牧,放牧牛のレンタル,棚田放牧,谷ごと放牧,水田裏放牧,スーパー放牧(大きな放牧地を小牧区に分けて使用する)などどんな方法でも考えられ,実現できます。
ソーラー電牧の放牧地に簡易牛舎をたてて,グループで交代で牛を飼うなんてことも考えられます。アイディア次第で牛の飼い方が変わるかもしれません。ぜひ一度挑戦してみてください。