ホーム > 岡山畜産便り > 岡山畜産便り2002年10月号 > 特集 ニューおかやま地どりの開発について

〔特集〕

ニューおかやま地どりの開発について

岡山県総合畜産センター環境家畜部  森  尚之

 鶏肉消費量の大部分はブロイラー肉であり,ブロイラー肉は他の食肉に比較して安価で,柔らかいことから,良質な動物性蛋白質食品として好まれている。しかし,最近のブロイラー肉の需給情勢は,需要面ではかつての増加傾向から横ばい基調になるとともに,生産・流通面では環境保全対策や衛生対策の強化が求められている。また,食料品の品質や安全性に対する消費者ニーズが高まるなかで,農産物の賞味期限や原産地等表示に関する措置が導入されるなど,消費者の視点を重視した対応が求められている。
 一方,おかやま地どりは,グルメ志向の高まりとともに,消費者の一味違った鶏肉(肉質・肉味などに特徴があり,各層の方々に広く好まれる肉用鶏肉)を求める声が高まるなど,鶏肉業界の要望に対応して昭和63年に岡山県が作出した。当センターでは,今までにおかやま地どりの種鶏改良並びに飼養管理の検討を行い,高品質化を進めてきた。
 さらに,当センターでは平成11年度から「低コストでおいしい鶏肉」を作るため,雄種鶏の組み合わせを変更した試験鶏を作り,発育や飼料効率などの経済性と肉味等について検討し,岡山県に適したニューおかやま地どりの開発を行ってきたので,その概要を説明する。

1 現在市販されている鶏肉

1)ブロイラー

 肉専用種として改良された鶏に,特別に配合した高栄養の飼料を与え,約56日で3s程度の肉用鶏に仕上げたものである。生産費は安く,柔らかい肉質である反面,肉味が乏しい,水っぽい,歯ごたえがない等の意見もある。

2)銘柄鶏

 両親が地鶏に比べ増体に優れた肉専用種といわれる鶏である。できた素びなの羽色が褐色系で赤どりといわれるものと,ブロイラーといわれる通常の若どり(チキン)の場合とがある。いずれの場合も,親の鶏種(赤どり:シエーバーレッドブロ,レッドコーニッシュ,レッドプリマスロック,プレノアール等,ブロイラー:ホワイトコーニッシュ,ホワイトロック等)とともに,通常の飼育方法(飼料内容,出荷日齢など)と異なり,工夫を加えた内容を明らかにした表示を食鳥処理場の出荷段階のパッケージ等に行ったものをいう。小売段階においてもこれに準じて一定の表示を行う。

3)地  鶏

 在来鶏の純系によるもの,または在来鶏を素びな生産の両親または片親に使った鶏である。地鶏は,表1のとおり通常の若どりの出荷日齢を超え,ある程度の期間を飼育し,肉に歯ごたえやコク等を付与したものであり,これらの内容(親の鶏種,出荷日齢等)を明らかにした表示を食鳥処理場の出荷段階のパッケージ等に行ったものをいう。なお,小売段階においてもこれに準じて一定の表示を行う。在来鶏とは,肉専用種以外の鶏であり,これまでわが国または海外で卵用,卵と肉の兼用,愛玩用などとして飼育され定着しているシャモ,名古屋コーチン,ロードアイランドレッド,横斑プリマスロックおよびその他の日本鶏を総称したいい方である。

表1 地鶏肉の日本農林規格に定める地鶏の生産方法についての基準
表1 地鶏肉の日本農林規格に定める地鶏の生産方法についての基準

4)かしわ(廃鶏肉)

 採卵鶏を1年から1年半産卵用として飼養した後の鶏を鶏肉として利用するもので,一般に肉質が硬い等の意見が強く,ほとんどは加工用として利用されている。

2 ニューおかやま地どり開発のねらい

 低コストでおいしい鶏肉を作るためには,有望な鶏種を基に,その交配種を作り,次の条件に最も近い鶏種を見いだすことである。

1)肉質は赤みの肉で,適度の歯ごたえがあり,風味がよくこくのあるもの。
2)発育や飼料効率がよく生産コストがあまり高くならないもの。
3)飼育管理が容易で岡山の気候風土に適し,さらに病気に強いもの。
4)ひなの円滑な生産を図るため,ある程度の産卵率が確保され,孵化率のよいもの。
5)特色をもった羽装で,岡山の特産鶏としてふさわしいもの。
6)おかやま地どりの特徴を継続するもの。
 (1) 特定JASの地鶏肉規格に対応する。
 (2) 性質温順で飼いやすく発育,飼料効率,強健性などが優れている。
 (3) 黒白横斑或いは茶褐色横斑の交じった美しい羽装は,特産鶏らしさを備えている。
 (4) 肉質は赤味を帯びて厚みがあり適度の脂肪を含んでいる。肉味はねばりある適度な歯応えと特有のコクと風味がある。

3 交配試験

 県産肉用鶏(おかやま地どり)の能力向上をはかるため,雄種鶏の交配方式による肉質改良を検討した。おかやま地どりのコマーシャルは,表2の交配で作出している。そこで,おかやま地どりの特徴を継続するため,ゴールデンネック(CRIR(♂)×CBP(♀))の組み合わせを基本として雌鶏に使用した。交配する雄鶏は,生産性の高い鶏種を検討し,増体性のよい鶏種として白色プリマスロック種(劣性白,2系統)及び横斑プリマスロック種(1系統)を選定し,表3に示すとおり供試種鶏をゴールデンネックに交配した。
 今回,試験した交配様式では,表4に示すとおり,飼育期間の短縮を図るためWR13を用いてGN(♀)と交配したところ,良好な発育が得られ,おかやま地どり(WR10(♂)×GN(♀))より飼育期間の短縮(1週間以上)が可能と考えられた。一方,HBPを用いた場合では,おかやま地どりの約80%の成長が認められたため,さらに選抜による大型鶏への改良が必要と考えられた。

表2 おかやま地どりの生産方法
表2 おかやま地どりの生産方法
表3 交配試験組み合わせ
表3 交配試験組み合わせ
表4 交配試験結果
表4 交配試験結果

4 今後の予定

1)消費者アンケートの結果から,おいしくて求めやすい価格の地鶏肉に対応するには,飼育期間を短縮した低コスト地鶏が必要であるので,WR13(♂)×GN(♀)の交配が妥当と考えられる。
2)ニューおかやま地どりの飼養管理並びに肉質評価試験を継続実施し,新たな飼育マニュアルを作成する。
3)平成15年出荷を目標として,特定JASの地鶏肉規格に対応するニューおかやま地どりの販路拡大を目指し,生産者に向けての飼育研修及び消費者へ向けての販売促進活動を実施する。