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〔特集〕

第8回全国和牛能力共進会最終比較審査 in 岐阜
〜岡山和牛躍進へ向けた取り組み〜

岡山県農林水産部畜産課

1 第8回全共最終比較審査

 今回の全共は,平成13年6月27日に発会式が京都で開催され,最終比較審査は平成14年9月26日から30日の間岐阜県を会場に全国から選りすぐりの代表牛が出品され,参加道府県において各出品区分毎に等位が競われるというものです。前回第7回岩手全共では『育種価全共』と呼ばれ,出品条件に育種価が取り入れられましたが,今回は,種牛能力が重要視されてきた状況を踏まえ,分娩間隔(育種価)が新たに取り入れられ,産肉能力と種牛能力がある一定レベル以上のものからの出品が条件とされました。各道府県においては,育種価の算定にはじまり出品条件にかなう候補牛の作出,選定に苦労しました。こうした中,最終比較審査に代表として選抜された出品牛は,種牛283頭,肉牛186頭の計469頭であり,岡山県からは,6区を除く1区から10区に種牛15頭と肉牛9頭の計24頭が出品され,種牛会場及び肉牛会場において共進会規則に基づく厳正な審査により,岡山県代表牛の各出品区分での等位が次のとおり決定されました。

2 全共出品対策

 岡山県では平成11年8月23日に関係団体の協力を得て,全共での上位入賞を目指し,岡山県出品対策協議会を設立しました。ここ数回の肉牛の部での成績が思わしくないことから,この岐阜全共では肉牛の部上位入賞を最重点項目として関係機関の総力を結集し,素牛を生産する繁殖雌牛の選定,受精卵の採卵並びに人工授精(指定交配)による素牛確保を強力に推進することとしました。
 繁殖雌牛の選定にあっては,各地方振興局管内毎に育種価成績上位にランクする雌牛から選定後,繁殖農家の方々の御理解と御協力をいただく中,別表に示す産子を確保し,代表牛決定に至ることができました。


肥育素牛確保対策の流れ

 @ 受精卵移植技術の活用

 これ程の素牛が確保できたことは,和牛繁殖農家はもとより,酪農家の受精卵移植への御理解と御協力の賜といえます。全県各地域で借り腹牛からの分娩の後,あらかじめ家畜保健衛生所を中心に哺育育成の受け入れ先を相当数お願いする中,分娩産子を育成農家へ移動し,生後約5カ月齢までスムーズな肥育開始を念頭においた育成を各農家において実施いただき,24カ月齢出荷という若齢肥育への対応・協力をお願いしました。この際には,受け入れ農家牛舎スペースの確認,分娩予定日から産子移動計画の作成等苦慮し,貴重な産子の健康維持に努め,移動にあっては,関係農協及び育成農家自身に輸送車両を準備いただき,無事計画どおりに育成農家への導入ができたものです。

 A 哺育育成

 受精卵産子は選定育成農家に育成をお願いし,人工授精からの産子については,通常どおり繁殖農家による育成をお願いするとともに,哺乳期間及び去勢のタイミング等育成におけるポイントの周知とあわせ,約5カ月齢での肥育農家への移動の徹底を図りました。各農家では通常の出荷月齢(約8カ月齢)と大きく異なることと,全共候補となる貴重な素牛であるということから意気込み反面,不安なり不満があったと思いますが,育成農家の全面的な協力が得られたため,早期肥育に取りかかることができたものです。

 B 候補素牛の選抜

 藤姫丸外5頭の交配種雄牛による産子約100頭の導入先肥育農家の選定については,過去5年間の共励会及び共進会での成績,若齢肥育及び全国共進会に対する認識度等を検討し,5つの肥育農場を選定させていただき,1次選抜後の約50頭を導入していただきました。この1次選抜では,肥育部会で協議し,交配種雄牛の後代検定成績が思わしくないもの及び成績の判明が全共最終比較審査以後となるものを候補外とすることとし,藤姫丸,沢幸土井並びに利花産子を出品候補牛として選抜しました。


肥育素牛確保対策における産子数


岡山県出品牛の全国共進会での成績

第8区総合評価群枝肉写真及び概要

第9区若雄後代検定牛群枝肉写真及び概要

第10区父系去勢肥育牛群枝肉写真及び概要

 C 肥育農場巡回

 肥育農場への素牛導入と同時に,各農場を参集し,肥育プログラムの確認,巡回指導体制の徹底と内容の確認を行い,月1回の農場巡回を行うとともに,肥育期間中の飼料の切り替え時期前には,その都度対策会議を開催し,最終選抜,出品牛決定に至るまでの約18カ月の間,候補牛の個体管理と選抜データーの収集に取り組みました。各農場においては,全共候補牛ということで,岐阜会場への出品,枝肉確認,成績発表に至るまで多大な御苦労をおかけしたことと思います。
 出品に至るまでの長期間,飼養者を中心に関係者が一丸となり,岐阜会場へ臨めたことに感謝申し上げます。

3 終わりに

 今回,優秀な成績が収められたのは,これまでの全共の成績を厳粛に受けとめ,関係者がそれぞれ地道に努力を積み重ねてきた結果であると考えております。特に,和牛の改良増殖は,産肉能力の高い種雄牛の作出,種牛能力の高い繁殖雌牛群の整備と肥育技術の確立等,取り組みの成果が得られるまで長期間を要することから,今回の成績に甘んずることなく,今後とも生産者の皆様と一体となり努力して参りたいと考えております。
 平成19年に開催される次回第9回鳥取全共もすぐ参ります。ぜひ,岡山和牛の特長を今後とも生かしながら,和牛産地岡山のさらなる発展に尽力していきたいと考えております。