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〔普及現場からの報告〕

“できることから,とりあえずやってみよう!”
まにわ和牛研究会の取り組み

真庭農業改良普及センター 

1.はじめに

 真庭地域は古くから和牛の繁殖産地として栄え,現在でも193戸,1115頭の繁殖雌牛を飼養する県下有数の産地規模を維持しています。
 その中にあって,比較的大型農家の有志が集い,和牛子牛生産技術の研鑽と親睦を目的に様々な取り組みを行っている『まにわ和牛研究会』(佐山實会長:湯原町)を紹介します。

2.研究会の歩み

 この研究会は平成5年度に発足した真庭肉用牛経営者会議を前身とし,平成11年度に真庭郡内の大型肉用牛農家の情報交換と親睦を主たる目的として改組して名称変更したものです。
 発足当時は名牛「糸藤号」の全盛期で価格も高値が続き,経営的には安定した時期でした。しかし,その後市場価格が徐々に厳しくなり,農家数も飼養頭数も減少する中で,会の団結と技術向上のための研修会を盛り込んだ活動を始めました。
 そのような活動が評価され,当初9名で始めた研究会も年々賛同者が加わり,現在では18名と倍増しています。

3.活動内容

 (1) 夫婦同伴先進地視察研修

 肉用牛経営においては,日々の餌やりや個体観察等女性が役割を担う場面が多々あると思います。そんな時男性と同じ目で牛を見,対処できることが安定した経営を維持できる秘訣ではないでしょうか。
 研究会では平成9年から先進地視察研修の参加を夫婦同伴とし,以降毎年の恒例行事となっており,日頃研修機会の少ない女性達からは好評を得ています。

 (2) 除角巡回

 従来,和牛の角は年齢や肉質の判断基準となり,また共進会での見栄えの良さもあり除角が進んでいませんでした。しかし,多頭化される中で群飼の角突きによる事故や飼養者の安全性からも除角は大型肉用牛農家では必須技術となっています。
 研究会では平成11年に除角研修会を開催し,3戸73頭を除角したのを皮切りに,毎年定期的に除角巡回を実施しており,現在までに真庭郡内の約150頭を除角しています。
 実施農家からは「牛の扱いが楽になり,牛同士の喧嘩での怪我や流産が緩和される。」と喜ばれています。

 (3) 受精卵バンク

 平成12年に優良繁殖雌牛の円滑な増殖と新たな販売方法の確率を目指して,会員内の優良受精卵流通組織としての“まにわ和牛受精卵バンク”を設立し,運営を開始しました。 現在までに約20個の受精卵が会員間で流通交換され,育種価の高い優良雌牛の増殖が進みつつあります。

 (4) 育種価利用現地研修会

 遺伝的肉質能力の優れた繁殖雌牛の飼養管理技術や利用性の向上を図り,肉質と体型を兼ね備えた子牛を生産する目的で,平成13年から育種価利用現地研修会を開催しています。
 会員が保有する高育種価繁殖雌牛とその産子を一堂に集め,関係機関の指導により体型の得失や飼養管理方法について意見交換し,また今後の精液選定や系統造成について検討を行っています。

 (5) 血中ビタミンA濃度の検討

 肥育牛では16ヶ月齢時の血漿中のビタミンAが80IU/dl以下に低下するとBMSが向上するといわれています。しかし,子牛出荷時から低すぎると食欲不振や発育不良等の欠乏症状を示し,長期間の肥育に耐えられません。
 このことから,研究会では出荷前に血液採取し,ビタミン含量を測定することで,適正な飼料給与の方法を模索しようと平成14年から検討を始めました。すでに夏期調査として16頭分を分析し,今後秋期・冬期と年3回の調査を計画しています。

 (6) 生産技術研修会

 研究会では平成10年度から冬の農閑期を利用して,繁殖育成に関する様々な分野から講師を招いて,生産技術の研修会を開催しています。
 研修会は座談会方式で行われ,会員それぞれが抱える問題点を率直に相談することにより,各農家の状況に応じた的確な改善案が提示されるため,農家からは‘すぐに行動に移せる’と好評を得ています。

 (7) 機関誌の発行

 平成11年7月の創刊を手始めとして研究会機関誌『まにわ和牛研究』を発行しています。同誌では最新の試験場報告や市場価格の推移等を掲載し,生産技術の改善や精液選定に役立ててもらおうと現在までに15号を発行しています。

4.おわりに

 去る9月下旬に岐阜県で開催された第8回全国和牛能力共進会での岡山牛の大健闘により,岡山和牛の名声はさらに向上するものと思われます。研究会では今後も和牛繁殖経営の益々の繁栄を期待しつつ,“夢と希望を持って,できることからとりあえずやってみよう!”を合い言葉に団結を持って活動していきます。