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〔海外畜産情報〕

ドイツ,フランスでみつけた書籍からのぞいた畜産

社団法人岡山県畜産会 大村 昌治郎

 平成14年9月9日から26日まで,平成14年度畜産海外事情研修ということでドイツ,イギリス,フランスの3カ国の畜産について視察する機会がありました。このような視察をした後では,本来なら,岡山畜産便りに視察した農家についての報告を書くのが通常なのでしょうが,せっかくの新年号ですから,軽いタッチでヨーロッパを巡っている間に見つけた,「こんなところにも畜産がある」という題材で紹介しようと思います。
 この視察研修中に,ことあるごと,畜産に関するものを収集してきました。畜産という現場だけでなく,ふつうの生活環境の中にある畜産を探してみました。
 目を皿のようにして見つけたものには,子供向けの絵本,写真集,絵はがき,ぬいぐるみ,マグネットがありましたが,今回は絵本と写真集について紹介しようと思います。ドイツ語やフランス語で書いてあるので,内容のすべてが読めないのが玉にキズですが・・・

1 ドイツ(デュッセルドルフ)で見つけたポケット絵本

 トップバッターは,ドイツのデュッセルドルフ空港の売店で見つけた畜産に関する子供向けの絵本です。絵本といっても,手のひらにのるミニチュアサイズで,そのお値段も1冊たったの1ユーロ(約120円)といったものです。このような絵本は,ポケット絵本?ミニチュア絵本?とでも言いましょうか。
 子供用の絵本ということもあって,ドイツ語で書かれていますが,簡単な表現で字も大きく,文字数も少ないので,昔ドイツ語をかじったことのある人だったら,少し頑張れば読めます。本の内容は,家族の中の一番小さな子供(子牛,子豚,子馬,子羊)の目をとおして,家族を紹介している内容になっています。
 このたび買ってきた絵本は7冊ですが,写真うつりが良いように6冊ほど写しています。この6冊の題名は,「草をはむ乳牛」,「トコトコにわとり」,「ももいろの豚」,「太っちょの七面鳥」,「ムクムクとした羊」,「勇ましい馬」というものです。

写真1 デュッセルドルフ空港で見つけた子供向けの絵本

 それでは,2003年は未年ということで,この中から1冊「ムクムクとした羊」を開いてみましょう。主人公はビェルンとフリーダという2匹の子羊で,自己紹介から物語は始まります。写真2は,「私たちはとても大きな家族です。」というお話と,たくさん羊の家族の絵が描いてあります。ちょっと分かりづらいですが,羊の絵の下は草の写真になっています。

写真2 「ムクムクとした羊」の中の1ページ「私たちはとても大きな家族です。」

2 フランスでみつけた「乳牛」の絵本

 次に紹介するのは,子供向けの乳牛の絵本です。先ほどの絵本より内容が詳しく対象年齢も高くなります。この絵本は,パリのリヨン駅近くのビルにある書店の絵本コーナーにあったものです。題名もずばり「乳牛」です。
 この本は,そろそろ帰国する日も近くなって,おみやげを探しに本屋へ行ったときに見つけたもので,たくさんシリーズである絵本のうちの1冊でした。

写真3 その名もずばり「乳牛」の表紙

 では,この絵本のなかをのぞいてみましょう。写真4,5の絵柄は違いますが,実はこれは同じページなのです。でも絵柄は違いますよね。実は,この本にはからくりが隠されていて,透明なシートに絵が描かれているのです。そのシートをめくると写真4の女の子が手搾りしている絵柄から,写真5のミルカーで搾乳している絵柄に変わるという仕組みになっているのです。搾乳していた女の子の手に注目してみると,牛の乳搾りをしていたのが,バケツを持っています。うーん,細かい。


写真4 女の子が手搾りで搾乳

写真5 ミルカーによる搾乳

3 フランスでみつけた「農家の絵本」

 次に紹介する本も子供向けの絵本ですが,今まで紹介したものより,さらに内容が深まり,用語も多くなった絵本ですが,扱っているテーマは農家です。この絵本の内容は大きく分けて,農場,農作業,畜産,穀物,野菜,果物について書かれています。
 この本は,ルーブル美術館の地下にあるショッピングモールにある,ナチューレ(Nature)という自然科学に関する器具,小物,書籍,コンパクトディスクなどを扱った店にありました。
 写真7は豚の飼育について記述しているページです。このページでは,豚がどういうところで飼育されているのかが描写されています。さらに写真8は乳牛から搾られた牛乳が,タンクローリー車で運ばれて,あらゆる乳製品になる方法が描かれています。
 写真で紹介していませんが,土づくりで堆肥生産やロールベールの収穫作業の場面もあります。わりと,子供向けの絵本ですが,この絵本でヨーロッパの農業について勉強させてもらっています。といっても,この本もフランス語なんですけど・・・

写真6 「農家の絵本」の表紙

写真7 豚の飼育についての記述

写真8 乳製品ができるまで

4 「乳牛の1日」(フランス)

 絵本の最後は,描写がとても写真のようにリアルな「乳牛の一日」という絵本を紹介します。この絵本も「乳牛」の絵本と同様に,パリの本屋で同じ時に見つけたものです。
 この本は,農業の啓蒙的な絵本ではなく,乳牛を題材として扱ったようですが,描写や内容は,かなり本格的です。ここにでてくる品種はフリージャン種でしょうか?ホルスタイン種でしょうか?黒白と赤(茶)白の乳牛がでてきます。

写真9

5 「フランス散策」

 なんとも,不思議な題名の本ですが,内容はフランスの地方ごとの地理的な特徴やその地方の特色や特産品について記述されています。今まで紹介したものの中で,一番内容の濃い絵本ではないかと思います。中学生の地理の教材といってもいいくらいです。
 それでは,この絵本の中から今回の視察先でもあったノルマンディー地方のところを開いてみましょう。ノルマンディー地方について,「リンゴとチーズのノルマンディー」と書かれています。
 リンゴを発酵させてアルコール分5〜7%になったアップルシードルやリンゴから蒸留してできたカルバドス酒がこの地方の特産です。チーズは,なんといっても世界中に広まったカマンベールの発祥の地ですし,ポンレベックやリバロといったチーズもこの地方です。この地方特有の乳牛は,ノルマンディー種という乳用種で,茶色のブチが特徴です。
 余談になりますが,ジャージー種のお里である,イギリスのジャージー島へは,ノルマンディーから船ですぐ行けます。

写真10 「フランス散策」の表紙

写真11 リンゴとチーズのノルマンディー地方

写真12 ノルマンディー地方の絵地図

6 山岳地帯の乳牛(写真集)

写真13 「山岳地帯の乳牛」の表紙

 今までは子供向けの絵本を4冊ほど紹介してきましたが,パリのルーブル美術館の近くの書店で,牛の写真集を見つけてきたので紹介します。この写真集の題名は「山岳地帯の乳牛」,フランス国内の山岳地域にいる乳牛の品種15種類の写真が満載です。
日本でもよく知られているシンメンタール種やブラウンスイス種にはじまり,サレールチーズで有名なサレール種,その他にボスジェンヌ種,モンベリアルド種,アボンダンス種,タランテーズ種,ビラールドランス種,フェランデーズ種,オーブラック種,ルーデーズ種,ガスコンヌ種,ヴェアネーズ種,オール種,サンジロン種。よくもこんなに乳牛の品種(それも山岳地帯で飼育する品種)がいるもんだと感嘆します。みなさんはこれらの乳牛の品種知っていましたか?
 単なる品種紹介の写真集ではなく,飼育されている地域と飼っている人々の顔,ユーモラスな牛の表情が記録されている写真集で,すばらしいの一言につきます。

写真14 ブラウンスイス種について

写真15 タランテーズ種について

 残念ながら,視察してきたイギリスでこのような本を探せなかったのが心残りですが,紹介しました6冊の本を,楽しんでいただけましたでしょうか?少しでも,ドイツやフランスの一般に販売されている書籍から,向こうの畜産が垣間見ていただけたのではと思っています。