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〔共済連便り〕

家畜診療日誌
何故「あしいた」による廃用が多いのか

津山家畜診療所  田中  均

 病気の発生には複数の要因(原因)が重なっている場合が多いのです。例えば冬場に猛威を奮うインフルエンザの病原体はウイルスですが,発病しない人のほうが圧倒的に多い筈です。ウイルスの感染にプラスして疲労,寝不足,二日酔,空腹などのストレスが加わっている場合が多いのではないでしょうか。
 乳牛に多発する「あしいた」(関節炎,飛節周囲炎,蹄病)にも表に示したように多くの要因がありますが,一つの要因だけで発病することは少なく,二つ三つと重なることによって発病する多因子疾患なのです。
 酪農家の皆さん,あなたの牛群に表のような○○病を見つけることができるでしょうか。「足らずは補え,余りは取り去れ」追加,除去で軌道修正することが「あしいた」の予防であり,治療ともなるのです。それでは表の要因を簡単に説明しましょう。

・ コンクリート病……固い牛床上で,頸を繋がれたままの起臥は,不自由で飛節などの関節部を牛床で打撲したり擦過を繰り返すために発病します。牛床の不備や蹄の異常牛が発病しやすいので,牛床環境の改善(マット,敷料,飼槽,乾燥,繋留ロープ)が必要です。

・ 不衛生病……湿潤不潔な牛床では,牛体や蹄も汚染され,病原体に感染する機会やストレスが多く,抵抗力が低下した牛体の関節や蹄に傷があれば容赦なく発病します。

・ 飼料病……病気(健康)はエサから,と言われるように,能力や生理を軽視した,濃厚飼料偏重の飼料は,いろんな生産病を引き起こします。ルーメンアシドーシスが高じて,蹄葉炎が発生すれば蹄病につながります。粗飼料の大切さを再認識してください。

・ 無削蹄病……「蹄無ければ乳無し」と言われるように,牛体の土台である蹄の健康維持は大切です。6カ月間隔で削蹄し,スムースな起臥,バランスのとれた歩様を保ち,滑走や「あしいた」の発病を防ぎましょう。

・ 無認識病……慢性的に進行する病気は,今日も昨日と一緒,と思っているうちに,治療開始時期が遅きに失して重症化しがちです。たとえ飛節が腫れたり,蹄が変形していても,まずまずの泌乳量である間は,水面下で進行している病気には無頓着な場合が多いのではありませんか。早期発見と早期治療が大切なことは言うまでもありません。再発牛や長期罹患牛は回復し難く,廃用になりやすいのです。

・ 遺伝病……ホルスタイン種やジャージー種などの乳牛と,同じような環境の繋留牛舎で繁殖和牛を飼育しても,飛節周囲炎は発生しません。乳牛の性質をよく把握して,能力を十分に把握し,しかも健康を維持できる飼育管理が必要です。