ホーム > 岡山畜産便り > 岡山畜産便り2003年2月号 > こんなところにもあった畜産

〔海外畜産情報〕(2)

こんなところにもあった畜産(マグネット,絵はがき編)

社団法人岡山県畜産会 大村 昌治郎

マグネット

 日本の観光地でも,最近よく見かけるようになりましたが,マグネットのついたマスコットがあります。日本では,小さなぬいぐるみといったものが多いようで,観光地に行けば,見かけることがあります。
 岡山県の場合では,蒜山にある蒜山ジャージーランドで,ジャージーのちっさなぬいぐるみにマグネットがおなかのなかに入ったものがありましたし,旭町にあるまきばの館ではホルスタインのマグネット入りぬいぐるみが販売されていました(今あるかどうかは定かではありません)。
 ですから,ヨーロッパで見つけたからといって,特別珍しいわけではないのですが,どうも造りがリアルすぎて,日本の観光地で販売されているものと異なった性格をもつマグネット付きマスコットを見つけてきました。
 今回の視察研修で探したものが写真1の鶏と乳牛(ノルマンディー種)です。どちらも素焼きに着色したもので後ろにマグネットがついています。いかがでしょうか?
 写真がみにくいかもしれませんが,目つきの悪い鶏で,かわいらしさを全面に出そうとしないノルマンディー牛。このような媚びのないキャラクターであるが,個人的には気に入っています。

写真1 マグネット2種(鶏と乳牛(ノルマンディー種))

絵はがき

 絵はがきというものは,いろんなところを歩けば見つけることができますが,欲しいと思った絵はがきは見つけたときに買っておかないと,次に同じものが必ず買えるという保証はありません。
 今回の海外畜産事情研修においても,行く先々で家畜に関する絵はがきを見つけたので,買い集めてきました。ヨーロッパでは,家畜をモチーフにした絵はがきが多いというように感じられます。他の国と比較したわけではないので,絶対に多いのかといわれると困るのですが,やはり多いのではないかと思います。ヨーロッパの人々にとって家畜というものは心の癒しをもたらしてくれるのかもしれません。
 まず紹介する絵はがきは,ブラウンスイス種を題材にしたのものです。ブラウンスイスを広角レンズで真っ正面からフォーカスし,画角いっぱいに頭だけというシンプルかつダイナミックな写真にぐっと心を引かれてしまいます。
 ブラウンスイス種は山岳地帯の乳用牛の品種で,岡山県においては,加茂川町でいくらか飼育されており,ホルスタイン,ジャージーの次にメジャーな品種といえるでしょう。

写真2 真っ正面からフォーカスしたブラウンスイス種の絵はがき

 次は,フランスのノルマンディー地方で買ってきた絵はがきを2種類紹介します。牛の種類がそれぞれ異なり,写真3では,ノルマンディー種,写真4ではアボンダンス種です。
 写真3の絵はがきには,いかにも物欲しそうなノルマンディー種が,アップルシードル,カルバドスといったお酒とカマンベール,ポンレベック,リバロといったナチュラルチーズの特産品を物欲しそうにしている構図です。
 ノルマンディー地方は,農業が盛んで,フランスでも有数の酪農地帯です。この地方特有の品種であるノルマンディー種が,いたるところで放牧されている風景を,くまなく見ることができます。

写真3 物欲しそうなノルマンディー種とノルマンディーの特産品の絵はがき

写真4 ノルマンディーから愛を込めて(アボンダンス種)

 次に紹介するのは,肉用牛のシャロレー種の絵はがきです。白馬ならぬ白牛が黄色の花咲く草地で放牧されている様子で,おとぎの国のような,とてもメルヘンチックな風景に見えます。

写真5 メルヘンチックな白牛(シャロレー種)

 今までは,牛についての絵はがきを紹介してきましたが,今年の干支は未年ですので,ここで羊の絵はがきを紹介します。これは,パリのリヨン駅の地下にあるお店で見つけたものです。レゲエのボブ・マーリー調のヘアスタイルをしたおしゃれな羊というものです。これは撮影スタジオで,モデルさながら撮影したものだと思われます。ちなみに,この絵はがきは,家畜以外の動物や虫などがたくさんモチーフとなったシリーズものになっていました。

写真6 ボブ・マーリー調な羊

 次の小羊たちの絵はがき,みなさんは見覚えありませんか?
 そうです!これは岡山畜産便り1月号の表紙を飾った絵はがきで,イギリスで見つけてきたものです。丸太でできた牧柵からのぞいている様がとても愛らしいですね。

写真7 牧柵から覗いている子羊たち

 ブタの絵はがきだってあります。被写体は子豚で,モノクロでレトロなイメージの絵はがきですが,とても良い笑顔でしょう。エサを欲しそうにしているという解釈もありますが,みなさんはどのように感じましたか。
 ところで,ドイツにおいては,ブタは幸運のシンボルとして,年末年始の飾りとしては欠かせないものになっています。幸運のシンボルはブタだけでなく,そのほかにも煙突掃除人,四つ葉のクローバー,(今はユーロでなくなりましたが)1ペニヒ硬貨が,町の至る所でこの時期にはよく見られます。

写真8 エヘヘヘと笑っている子豚

 この絵はがきはどう思いますか? まるで図鑑から抜き出してきたような図柄。このように品種を一覧にしてくれると,牛の種類を知るのにはとても助かります。
 これはフランスで見つけたのですが,同じシリーズで,チーズ,家畜,鶏,馬,ウサギもありました。この牛の図柄で大きなパネルもありました。

写真9 図鑑調で牛の品種がよく分かる絵はがき

 今までは写真の絵柄を紹介してきましたが,絵画やマンガで描かれた絵はがきを紹介しましょう。
 まずは,イギリスはウェールズ地方,ヘレフォードのスリーカウンティーズホテルのフロントで見つけた絵はがきを見てもらいましょう。ここに描かれているのは,ヘレフォード種の放牧風景です。ヘレフォードという地名の町なので,このような絵はがきがあっても不思議ではないですが,やはり感動しますね。おもわず5枚も買ってしまいました。

写真10 ヘレフォード周辺の風景

 マンガっぽい絵柄の絵はがきには,メッセージが書かれていることが多いようです。
 次に紹介する絵はがきは,相手に対して大勢の仲間の好意を示すメッセージを託した絵はがきでしょうか。たくさんの牛がこちらを向いて,フランス語で「私たちはあなたが好きだモー!」というメッセージの絵はがきで,インパクトがあります。

写真11 「わたしたちはあなたが好きだモー!」

 次は,引っ越しした友人に送るためのカードだと思われますが,ホルスタインが自分で芝生をしいている絵柄で,ドイツ語で「引っ越しおめでとう」というメッセージが書かれています。放牧地という設定も素晴らしい。

写真12 「引っ越しおめでとう」メッセージカード 

 次は,さらにマンガっぽくなっています。牛が草をはんでいる絵柄に,フランス語で「思い悩むのは止めようよ!(反すうを止めて!)」というメッセージが書かれています。

写真13 思い悩むのは止めようよ!

 最後はとてもきれいな絵で,牛や豚などの家畜と子供たちの行進を描いた絵はがきを紹介します。水彩画のトーンで描かれているこの絵はがきは,農村のほのぼのとした雰囲気を伝えています。

写真14 家畜と子供たちの行進

 みなさんいかがでしたか?前回はヨーロッパで見つけた書籍について述べましたが,今回は,マグネットと絵はがきを紹介しました。探してみればいろいろ見つかるものですね。ちょっとした小物や絵はがきからも,ヨーロッパにおいて,いかに家畜が愛されているということが感じられたのではないでしょうか。