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〔特集〕

家畜衛生関連情報

岡山県農林水産部畜産課

1 死亡牛のBSE検査が開始されます。

 昨年の7月に施行された牛海綿状脳症(BSE)対策特別措置法,同施行規則及び牛海綿状脳症対策基本計画の規定により,平成15年4月1日から24か月齢以上の死亡牛について全頭BSE検査を実施することになりました。全国で4月1日から全頭検査が開始されたのは31都府県で,13道県が検査に必要な施設の整備が出来次第,全頭検査を開始することになっています。残りの3県は離島などの一部地域を除いて全頭検査を実施しています。
 岡山県は死亡牛を集め,検査材料の採取を行い,BSE検査の結果が判明するまで保管する施設の建設を進めており,この集荷採材保管施設が完成次第県下全域で死亡牛全頭検査を実施します。それまでの間は,県内を従来からの死亡牛の処理方法によって県内焼却施設利用地域と県外化製場利用地域の2つに分けて地域別に検査を実施します。

1)県内焼却施設利用地域

 24か月齢以上の死亡牛のうち家畜防疫員が指示した牛はBSE検査を実施します。
 ・家畜防疫員が指示する牛とは

 @ BSEを疑う神経症状(特定臨床症状)を呈して死亡した牛
 A と畜場における生体検査で奇声,旋回等の行動異常,運動失調等の神経症状によりと殺・解体禁止となり,死亡した牛
 B 24ヶ月齢以上の牛であって,と畜場における生体検査で上記A以外の理由により,と殺禁止となり死亡した牛
 C 平成7年12月から平成8年4月までに生まれた牛であって死亡した牛

2)県外化製場利用地域

 4月1日から24ヶ月齢以上の死亡牛は全頭検査を実施しますが,岡山家畜保健衛生所冷凍コンテナを設置するまでと冷凍コンテナ設置後集荷採材保管施設が出来るまでの2通りの期間に分かれます。

 @ 冷凍コンテナが設置されるまでは,各家畜保健衛生所で検査材料の採取,死亡牛の焼却を行います。
 A 冷凍コンテナが設置された後は,岡山家畜保健衛生所で検査材料の採取を行い,BSE陰性の死亡牛を県外化製場に搬出します。

  <参 考>
1 牛海綿状脳症対策特別措置法抜粋
 (死亡した牛の届出及び検査)
第六条 農林水産省令で定める月齢以上の牛が死亡したときは,当該牛の死体を検案した獣医師(獣医師による検案を受けていない牛の死体については,その所有者)は,家畜伝染病予防法第十三条第一項の規定による届出をする場合その他農林水産省令で定める場合を除き,農林水産省令で定める手続に従い,遅滞なく,当該牛の死体の所在地を管轄する都道府県知事にその旨を届け出なければならない。
  2 前項の規定による届出を受けた都道府県知事は,当該届出に係る牛の死体の所有者に対し,当該牛の死体について,家畜伝染病予防法第五条第一項の規定により家畜防疫員の検査を受けるべき旨を命ずるものとする。ただし,地理的条件等により当該検査を行うことが困難である場合として農林水産省令で定める場合は,この限りでない。

2 牛海綿状脳症対策特別措置法施行規則抜粋
 (届出を行うべき死亡した牛の月齢)
第一条 牛海綿状脳症対策特別措置法(以下「法」という。)第六条第一項の農林水産省令で定める月齢は,満二十四月とする。

3 牛海綿状脳症対策基本計画抜粋
 死亡牛の検査体制の整備
  都道府県は,原則として,平成15年4月1日から,24か月齢以上の死亡牛全頭についてBSE検査を行うものとするが,それまでの間においても可能な限りBSE検査を実施するものとする。また,特別措置法第6条第2項のただし書に該当する場合であっても,平成16年3月31日までに,24か月齢以上の死亡牛全頭についてBSE検査が行える体制を整備するよう努めるものとし,それまでの間においても可能な限りBSE検査を実施するものとする。

2 ヨーネ病発生状況と対策

 ヨーネ病の発生頭数はグラフに示すとおりで,北海道での発生数は減少しており全国的には減少傾向ですが,都府県では増加傾向にあります。岡山県では,平成14年から2年で1巡する乳用牛の全頭検査を開始したこともあって平成14年は74頭の摘発となり,北海道の次に多い頭数となっています。
 岡山県の発生頭数の増加は,撲滅対策への取り組みの結果で,清浄化への過程にあると考えられます。


(全国ヨーネ病発生頭数)


(岡山県ヨーネ病発生頭数)

対 策

1)ヨーネ病を持ち込まない。
  牛を導入する場合には,病気を持ち込まないためにヨーネ病を含めた着地検査を家畜保健衛生所に依頼し,牛の状態をよく観察してから牛群に入れる。

2)定期的な検査により感染牛を早期に摘発する。
  ヨーネ病は無症状でもヨーネ菌を排泄する牛がいることや生産性が低下することから,定期的な検査で感染牛を見つけることが大切です。

3)患畜が摘発された場合
 @ ヨーネ病患畜が発生した場合は2週間以内に殺処分することになります。殺処分に対しては,家畜を評価し評価額の4/5が手当金として国から交付されます。
 A 患畜が発生した農場は,発生後1年間は4ヶ月間隔で同居牛の糞便検査,ELISA検査を実施し,感染牛を摘発します。
 B 患畜と同居している牛(廃用予定,肥育仕向牛を含む)は,移動を自粛する。やむを得ず,移動する場合は,検査を受け,陰性証明を受けてから移動させる。乳用雄子牛等の初生牛,別飼いされている肥育牛,肥育素牛は,移動自粛の対象外としますが,下記の管理を徹底してください。

4)患畜摘発農場の衛生管理
 @ 分娩された子牛は,速やかに母牛から離しカウハッチ等で隔離飼育を行う。
 A ほ乳は,代用乳にて実施し,生乳を飲ませない。
 B 初乳等生乳を飲ませる場合は,65℃で30分以上加熱したものを使用する。
 C 牛舎等の消毒の徹底
  ・糞便,汚れ等を取り除き,水洗し,石灰乳の散布・塗布を行い,十分乾燥する。
  ・糞や堆肥化できる汚染物は適切な堆肥化処理を行う。
  ・長靴や車輌のタイヤ等の消毒を移動するたびに行う。

 岡山県はヨーネ病防疫対策要領を定め清浄化に向けた対策に取り組んでいます。