ホーム > 岡山畜産便り > 岡山畜産便り2003年4月号 > 最近のニューカッスル病生ワクチン接種による抗体応答

〔地域情報〕

熊本県のコントラクターについて

井笠地方振興局畜産係

 近年,笠岡湾干拓地における畜産農家の間で,コントラクター((飼料生産)受託組織)設立の機運が盛り上がっているため,昨年9月,関係機関(おかやま酪農,笠岡市,井笠普及,井笠局)が,先進地である熊本県菊池地域を訪問し,その運営方法及び組織育成について調査を行ったので,その概略を紹介します。

1 概要:菊池地域(菊池市,合志町,旭志村等1市6町1村)は,飼料用トウモロコシの作付面積が2,000haあり,その内46%の作業受託を次の6団体が行っている。

2 作業体系:

 (1) 耕起・播種・・・・畑の所有者が実施(収穫作業時期を偏らせないよう,播種日をバラバラにするのがコツ)
 (2) 収穫・・・・・・・コントラクターが実施
 (3) 運搬・・・・・・・ダンプは人間付きで借上げる(5,000円/台)。周りの人間が互いに出し合うようにする。ハーベスターは能力が高いため,1台に3〜4台のダンプが必要。
 (4) サイレージ詰込み・畑の所有者が実施(バンカーサイロは2つ以上設置し,片方のサイロにトウモロコシを降ろしながら,もう片方のサイロでは,先に降ろしたトウモロコシをトラクター等で踏圧する。ダンプの荷降ろしと踏圧を,複数のサイロで同時に行い,能率を上げるのがコツ)
 (5) 堆肥散布・・・・・畑の所有者が実施(堆肥の品質と散布量は,人によって,時期によって異なるため,共同作業にしていない。)


写真1 コントラクターが利用しているハーベスター

写真2 コントラクター利用農家が設置しているバンカーサイロ

3 金銭面の流れ:

4 コントラクター利用農家のトウモロコシ生産費

  (熊本県七城町 山下英雄氏(搾乳牛92頭飼養)の事例)
  H11年:10.9円/s(延べ18ha作付,2期作が台風で収量減少)
  H12年: 7.0円/s(延べ20ha作付)
  H13年: 6.2円/s(延べ22ha作付)
  *コントラクターを利用しない一般的な生産費は,10〜15円/s
(潟pイオニアハイブレッド 大畑氏試算)

5 その他

 (1) 菊地地域のコントラクターの1日当たり作業面積は3〜4ha。(ただし,一般道路の移動時間が大きなロスとなっている。)
 (2) 100ha程度こなせば,採算が取れると思われる。(先述の山下氏の意見)
 (3) 利用農家は,事前にバンカーサイロを設置しておく必要がある。
 (4) 菊地地域は昔ながらの村社会のため,組合長など上のものが,やると言ったら,皆,文句を言わずに付いて行く。結局,強いリーダーシップを発揮できる人がいたので成功したのだと思われる。(菊池農業改良普及センター 大村主任技師の解説)