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育種価から見た岡山和牛の系統特性

岡山県総合畜産センター 和牛改良部 生産技術科 小田  亘

1 はじめに

 当センターではこれまで,藤良系,安達系及び清国・下前系の主要3系統を中心に改良を進めてきました。近年では,和牛は育種価や受精卵移植を活用した改良により,産肉形質のめざましい改善がなされています。
 一方で,産肉能力を重視するあまり,遺伝的多様性が失われ,特徴ある系統が消失しつつあります。本県の主要3系統である糸藤号を中心とした藤良系,高庭号,第12西丸号を中心とした安達系および守1号を中心とした清国・下前系も例外ではなく,岡山和牛の特徴である発育性,種牛性の低下が危惧されます。
 そこで当センターでは,岡山和牛の改良を行うと同時に維持・保存を目的として,優良遺伝子の確保に努めています。

2 岡山主要3系統の特徴

 本県では主要3系統を中心とした改良を進めており,3元輪番交配が理想であることからも主要3系統の維持,保存を進めてきましたが,今までに3系統について産肉形質や繁殖性など詳細にわたっての特徴づけがなされていません。
 そこで今回,藤良系,安達系および清国・下前系の3系統について,育種価から見た経済形質についての特徴の整理を行いました。
 岡山主要3系統の特徴の整理をするにあたって,第16回育種価(平成14年12月公表)のうち現在供用中と考えられる3系統繁殖雌牛計706頭を材料に用いました。系統の分類は,血液濃度60%以上と定義し,産肉形質並びに分娩間隔育種価について比較した結果は表1及び図1に示したとおりでした。
 まず,産肉形質についてみてみると,バラ厚をのぞく全ての形質で藤良系が最も優れており,特に主要3形質である枝肉重量,ロース芯面積および脂肪交雑について,他の2系統と比べ優れ,従来から考えられていたように肉質,肉量の優良遺伝子を持つ「産肉形質型」の系統と位置付けられます。
 次に,繁殖形質の一つである分娩間隔育種価についてみると,清国・下前系が最も優れていました。特に,分娩間隔は,資質・品位に関係が深いとされていることから種牛性に高い能力を持つ「資質型」の系統と考えられます。
 一方で,安達系については以前より2系統の「中間型」の系統といわれており,育種価的にもその傾向が見られました。しかし,現在本県の基幹種雄牛である安達系の藤姫丸号を父に持つ繁殖雌牛が育種価判明牛の中にはまだ存在しないことを考えると,これから徐々に藤姫丸号を父に持つ繁殖雌牛の能力が判明すれば産肉形質,特に脂肪交雑に関しては大幅に改善することが期待されます。

表1 育種価を用いた3系統の比較


図1 育種価から見た系統別特徴

3 おわりに 

 岡山主要3系統は,それぞれ産肉形質,繁殖性について異なる特徴を持ち,維持すべき優良遺伝子を保持しており,引き続き系統の維持及び改良を図る必要があります。
 当センターでは,平成6年度から現在まで,受精卵及び生体として主要3系統を維持・保存しており,今後も岡山和牛の優良遺伝子を確保するため,精液,生体および受精卵の保存に努めたいと考えています。