ホーム > 岡山畜産便り > 岡山畜産便り2003年5・6月号 > 「飼料イネサイレージの代替性検討」 |
飼料イネは,夏場に雨の多い我が国の気象や湿田に適応した飼料作物として,水田農業の振興と自給飼料基盤の拡大に有効な作物として位置づけられ,生産の大幅な拡大が期待されています。
本県においても平成14年度約25haの作付けがあり,湿田でも作業可能な専用収穫機の導入されるなど,今後の普及が見込まれています。
一方,酪農経営における飼料イネの給与技術については,給与量・方法等,未解決な課題も多いのが現実です。今後一層の飼料イネの作付け拡大を図るためには,これらの課題を現地で解決・実証することが不可欠です。
そこで,その飼料イネの栄養価値を中心に,従来利用されてきた各種の粗飼料との代替性について検討してみました。
県内で栽培されていた飼料イネ(品種:ヒノヒカリ)について,繊維の消化性,粗蛋白質,TDN,硝酸態窒素,無機成分等の調査を行いました。(表−1)
その結果,他の粗飼料との比較から見た飼料イネの栄養面での特徴として,
@ TDN,繊維の消化率では,他の粗飼料と大きな差はない。
A 粗蛋白質においても,アルファルファー,スーダングラス以外では差がない。
B 硝酸態窒素は最も低く,給与する場合の安全性が高い。ことがわかりました。
飼料イネの品種は日本晴,中生新千本,あきたこまちでしした。
飼料イネサイレージの給与方法は,朝夕1日2回,輸入乾草(オーツ)とともに給与しており,1日当たりの飼料イネ給与量は現物で7〜8sでした。
給与に当たっては,飼料イネサイレージに対し若干の馴致期間が必要であったが,慣れると良く採食し,牛による個体差もほとんど無くなりました。
既存の刈り取りモアー〜梱包のような機械体系よりも,飼料イネ専用機械によって細断調製された飼料イネサイレージの方が,発酵品質・嗜好性に優れ,給与飼料のロスも少なく,評価が高かった。
飼料イネはケイヌビエサイレージと代替したが,乳量に変化無く,繁殖障害等の問題も発生しませんでした。
上記から,飼料イネの流通粗飼料への代替性を次のようにまとめました。
適期に収穫した良質な飼料イネサイレージであることが前提ではありますが,
@ アルファルファを除き,流通している粗飼料の中程度のものとは代替できる可能性がある。
A 特にチモシーとは,TDN,粗蛋白質,繊維の消化率が似ており,期待できる。
B 硝酸態窒素の高い粗飼料を給与している場合の一部代替飼料としての利用が考えられます。なた,カリウム含量が低いため,乾乳後期の粗飼料としても期待できます。