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話題の牧草「ヘアリーベッチ」について

岡山県総合畜産センター 大家畜部酪農飼料科
専門研究員 秋山 俊彦

 過疎化・農業の担い手の高齢化による耕作者の不足,そして集落の機能低下は農業全体の大きな課題となっています。2000年農業センサスによれば,耕作放棄地の面積が岡山県全体で5,812haにも及び1995年の前回調査時よりもさらに24.6%の増加を示しています。
 このような,耕作放棄地の存在は,地域の水保全機能の低下や土砂崩壊などに関与し,農地・農業の持つ機能が低下しています。
 そうした中「ヘアリーベッチ」という作物が注目されています。ヘアリーベッチはもともとマメ科の飼料作物で,強い雑草抑制力を示すことにから,遊休地や耕作放棄地の管理用作物として広く栽培されるようになってきました。

 【特徴及び性状】

1.開花期は5〜6月で,長さ1.5pほどの青紫色の蝶形花を穂状に着ける。葉はカラスノエンドウに似ている。
2.草高は50pほどであるが,ほふくするため茎の長さは2mにも達する。

 【生育条件】

1.土質に関しては砂土や砂壌土での生育が良好とされるが,排水が良ければほとんどの土壌に対応できる。
2.土壌pH条件は4.9〜8.2で,広範囲で生育が可能である。
3.耐寒性は比較的強い。

 【特性】

 以下の効果により,強い雑草抑制力を示すことが知られています。
1.ツルにより雑草を物理的に押さえ込む。
2.ほふくする豊富な草量で土壌表面を被覆し,地表面への太陽光を遮断する。
3.雑草の発生を抑える物質を分泌する。
 これらの効果は生育旺盛となる3月から枯死後7月中旬頃まで続きます。その後,茶色に枯れて地面を覆うので雑草の生育が抑えられます。

【畜産的利用】

1.最近になり,新たなみつ源としての利用の可能性が評価されている。センターでの試験採取では糖度も高く,無色の透明な良質な蜜が採取された。
2.良質のサイレージとして評価されている一方で,毒性のある配糖態やアミノ酸類縁物質の存在することが報告されている。したがって,粗飼料として利用する場合には,イネ科牧草との混播が望ましい。
 以上,最近話題の作物ヘアリーベッチについて述べてきましたが,畜産センターでは昨年度から岡山県養蜂協会と共同でヘアリーベッチの新しいみつ源としての可能性,家畜の飼料としての利用性,雑草の抑制効果等についての試験を実施しています。本年度は,耕作放棄地対策として県内数カ所で現地実証試験を予定しています。