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〔技術のページ〕

卵殻質について

岡山県総合畜産センター 
環境家畜部  松馬 定子

 卵の品質に対する消費者の関心は高く,安心・安全を求める消費者ニーズに対応し,少しでも高値で流通させるために,高品質卵の生産が望まれる。鶏卵の成分は表1に示すとおり卵白,卵黄,卵殻と分かれている。卵殻は構成比率は低いものの「たまごの外側からわかる卵質」といわれており,食卵・種卵ともに重要な役割を担っている。すなわち食卵においては,卵中の水分,炭酸ガスの放出量を調節し,卵白のpHを安定させ,ハウユニットへ影響を与え,種卵においては,胚が気孔を通じてガス交換を行うため生命の維持に不可欠なものであり,発生時には重要なミネラル源となる。このように卵殻質は,卵内容物の保護,品質保持のため非常に重要と言える。また,卵殻の強固な鶏卵を生産することは,破損卵の発生率を防ぎ,品質の安定を図る上でも欠かすことのできないものである。

1.卵殻の形成

 鶏卵は,その日の産卵終了後,卵巣から次の卵胞が漏斗部を経て,5〜6時間経過後,膨大部に達し卵白が形成され,概ね夜間になると子宮部に到達し,卵殻の形成が始まる。(図1 雌鶏卵管模式図参照)このときの子宮部における卵の滞留時間と,卵殻厚は直線的に比例する。しかし,同一鶏が毎日同じ卵殻質の鶏卵を産生するとは限らない。これは,鶏卵そのものが生体内の様々な生化学的反応の絶妙なバランスの元に産生されるものであり,卵殻質の形成には比較的長い時間が必要であること,そのために種々の影響を受けやすいことが原因と考えられている。その要素としては,血中のホルモン濃度,炭酸ガス分圧,カルシウム,リン濃度や,日齢などの個体要因と,それらに間接的に影響を与える光線管理,環境温度などがある。鶏卵の生産現場では,鶏群へのストレスの軽減,鶏病発生予防,飼料,衛生管理などの基礎的な飼養管理技術が大切である。

2.卵殻質の評価方法

 卵殻質は,通常,次の項目について検査を行ない評価する。
 卵  形:美しい卵円形を示す指標として,ノギスを用いて卵外郭の長さを測定し,(短径/長径)×100で表される。
 卵殻厚:卵殻の厚みのことで,破卵率との関係が深く,また,部位により厚さが違うため,通常総平均に近い部位として,側面中央部を卵殻厚さ計を用いて測定する。
 卵殻強度:卵殻が破壊されるときの圧力を数値で表したもので,卵殻強度計を用いて測定する。強度は卵形,卵殻厚により影響を受ける。
 卵殻色:白色,褐色,青色が国内で流通している。卵殻色素は子宮粘膜に存在し,白色卵の鶏種には,ほとんど認められない。褐色卵の主な色素はポルフィリンであり,主にクチクラ層に卵殻形成の最終段階で着色する。青色卵はビルベルジンとプロトポルフィリンの合成色により卵殻形成の全期間にわたって着色される。通常,卵殻色を測定するには,色差計を用いて測定することが多い。色差計はL値(明度)a値(赤色度)b値(黄色度)と,色を色相として数値化する機械である。褐色卵の赤色度と相関が高いのはa値である。

3.県内生産卵の卵質

 岡山県養鶏協会が毎年開催している岡山県卵質改善共励会の平成15年度成績を表2に示した。卵形係数,卵殻強度,卵殻厚,卵黄色及びハウユニットは通常一般的な値とされている範囲内であった。

4.卵殻質の改善方法

 卵殻強度の強い卵殻質を生産するためには,まず,卵殻質のどの品質がどの原因により低下しているのかを注意深く観察し,卵殻の形成時に悪影響を与える原因を除去することが肝要である。次にあげる方法は,卵殻厚を増す効果として,あくまで補助的な手段として使用されている。

 飼料添加物:ビタミン剤は各種ストレス軽減に対して,生体内バランスの保持のため効果があるとされている。
   重炭酸ナトリウムは夏季などの高温下における呼吸性アルカローシスに対して,効果が認められている。
 強制換羽:気孔数が減少し,卵殻厚が増加するなど,日齢の増加に伴う卵質の低下をある程度は回復させることができる。
 飼料給与:午前:低Ca濃度,午後:高Ca濃度の飼料を給与し,血中Ca濃度を調節することも効果が期待されている。
に至っています。