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〔地域情報〕

倉敷地域堆きゅう肥共励会及び資源リサイクル推進研修会を開催

倉敷地方振興局農林水産事業部農業振興課畜産係

 近年,畜産環境保全と資源循環型農業に関心が高まるなか,堆きゅう肥の利用について需給者相互の情報交換を通じて畜産農家と耕種農家とのネットワークシステムの確立を図り,倉敷地域の堆きゅう肥の利用と土づくりを促進するため,倉敷地区畜産振興協議会(倉敷市ほか10団体で構成,事務局:農業振興課畜産係)では,平成14年度・15年度と2年続けて,成分分析を伴う堆きゅう肥共励会及び資源リサイクル推進研修会を開催したので,その概要を紹介します。

○ 倉敷地域堆きゅう肥共励会

 平成14年度は酪農家を対象として15点について実施しました。平成15年度は成分分析未実施農家を中心として参加案内したところ,乳用牛2点,肉用牛1点,豚2点,採卵鶏7点,計12点の出品がありました。なお,鶏については乾燥糞も対象としました。
 品質判定は,臭気,手触り,均質性,色合い,堆積期間,発芽試験,C/N,電気伝導率(EC)の8項目で行い,合計100点として順位をつけました。
 臭気,手触り,均質性,色合いの4項目についての官能審査は,平成15年10月29日に倉敷地方振興局において,耕種・畜産担当県職員を審査員として実施し,最高点と最低点を除いた平均点を得点としました。
 成分の分析は(協)倉敷市環境保全協会に,発芽試験やEC測定等は倉敷農業改良普及センターにそれぞれ依頼して成績を得ました。
 出品された堆肥の品質判定得点の平均は56.7点であり,最高得点は85点,最低得点は35点で,その差は50点と大きく,また,発芽率の低いものやECの高いものもみられ,下位の堆肥の底上げが課題と思われました。


官能審査風景

○ 倉敷地域堆きゅう肥共励会褒賞授与式

 平成15年12月17日に岡山西農業協同組合玉島支店(倉敷市玉島中央町)において,倉敷地域堆きゅう肥共励会褒賞授与式を開催し,経過報告,審査講評の後,優秀賞2名の表彰を行いました。
優秀賞 大家畜部門
渡辺真市氏(総社市・乳用牛)
    中小家畜部門
山田俊煕氏(総社市・肥育豚)

○ 倉敷地域資源リサイクル推進研修会

 堆きゅう肥共励会褒賞授与式に引き続き,同会場において,倉敷地域資源リサイクル推進研修会を開催しました。
 この研修会には倉敷地方有機無農薬農産物生産研究会にも協力していただき,研究会員多数の参加が得られました。更に管内の一般耕種農家及び畜産農家,市町村,農業協同組合,酪農業協同組合のほか,管外からも関係機関の参加を得て,出席人数は45名となりました。
 研修会では三重県の農業者で,堆肥・育土研究所主宰の橋本力男氏に「畜糞を利用した堆肥づくりと有機栽培について」と題して講演をいただきました。橋本講師は平成12年に全国環境保全型農業推進会議長賞を受けられており,現在は三重大学非常勤講師,生ゴミリサイクル全国ネットワーク評議員を始めとして数々の役職に就かれています。堆肥づくりの技術を『食循環』という見地から,「有機栽培には健康な土づくり,正確な土づくり,すなわち育土が必要。畜糞を利用した堆肥づくりには単品でなく,牛・豚・鶏の組み合わせによる栄養バランスの調整が必要。」など,貴重なお話がいただけました。
 講演の後,(社)岡山県畜産協会の大村昌治郎氏に「飼料増産と堆肥の利用促進」について話題提供していただきました。「自給飼料の増産対策として『ひのひかり』のホールクロップサイレージは牛の嗜好性も良く,夏作飼料作物として岡山市の酪農家でも利用されている。」などの情報をいただきました。
 また,別室では堆肥の展示を行いました。平成14年度共励会出品農家の堆肥13点,本年度出品農家の堆肥12点,管内の養鶏農家が鶏糞を加工したり炭化したりしている普通肥料2点,更には特別出展として橋本講師が講演の中でも紹介された自作の堆肥7点の合計34点を,ビニール袋に入れたものとバットに出したものをセットで陳列し,研修会参加者に臭いや手触りを確認してもらえるように展示しました。


橋本講師による講演

大村氏による話題提供

○ 今後の取り組み

 倉敷地区畜産振興協議会では本年度から実証展示ほ場を設けて堆肥施用試験を開始しています。来年度は作物の種類と面積を増やして継続していく予定です。その調査結果は次回の資源リサイクル推進研修会で報告し,耕種農家へアピールしていきたいと思っています。
 また,倉敷地区畜産振興協議会としては,今後の堆肥の広域流通を視野に,近隣振興局管内の関係団体とも連携していきたいと希望しておりますので,その折りにはよろしくお願いします。