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〔共済連だより〕

減らそう! 子牛の下痢と肺炎

岡山西南家畜診療所 新井 仁

 平成16年度から家畜共済の制度改正が行われ,乳牛の子牛共済が開始されました。これにより,すべての牛が共済対象となりました。子牛の死亡原因は52.5%が下痢,21.3%が肺炎です。という事は下痢と肺炎を予防すれば,子牛の死亡率は下がります。どのように予防すればよいのか?と言うことで…。

1.清潔な分娩施設を提供する

 下痢の大きな原因は糞便が経口的に体内に入ることである。これを防ぐには,清潔で乾燥したところで娩出されるのが理想的である。健康的な子牛を求めるのであれば,清潔で乾燥した分娩房を用意したい。

2.良く換気された施設にする

 新鮮な空気を子牛の所に入れることは困難な場合が多いが重要なことである。アンモニアは低値でも肺にダメージを与える為,空気の入れ替えは不可欠である。子牛の鼻の高さにしゃがんで10分間耐えることができなかったら,子牛へ与える影響は大きい。ここで注意したいのが隙間風と換気は違うということ。冷たい隙間風は子牛の体力を奪い,免疫力を低下させる。

3.子牛は別々のペンで飼う

 唾液中や鼻汁中には肺炎を引き起こす病原菌が含まれることが多いので,子牛の集団感染を防ぐ為にもカーフハッチなどで別々に飼いたい。カーフハッチは3m程度離して設置し,水はけのよいやや傾斜した砂地に置く。3〜6ヶ月ごとに定期的に移動させ,子牛を入れ替え,ハッチを移動させる度に洗浄・消毒を実施する。清潔さの確認は,ハッチ内で自分自身が昼寝をする気分になれば完璧である。

4.母牛にワクチンを打つ

 母牛に種々の混合ワクチンを接種することで子牛の下痢や肺炎を防げる場合がある。

5.初乳を飲ませる

 子牛に対する免疫は初乳によってのみ与えれるので,初乳を与えることが重要となる。子牛に免疫を与える為には初乳が最高で,これなしではどんな予防も無駄である。

6.十分なミルクを給与する

 気温が変化すると子牛の要求量は変化してくる。非常に寒い環境下では体温維持の為にエネルギーを消費するので,子牛のエネルギー要求量は増加する。非常に暑い環境下でも同様なことがおきる。エネルギー不足(飢え)はストレスであり子牛の免疫力を低下させ,様々な感染症を引き起こす。

7.人的感染を防ぐ

 経口投与時,必要以上に穴の大きな乳首を避け,誤嚥させないように注意する。また,使用する器具等も清潔なものを用い,人的要因による感染から子牛を守る。

8.廃棄乳の取り扱いに気をつける

 病気や何らかの治療を行った牛のミルクは子牛用飼料としては安価なものに感じるが,それが原因で下痢を引き起こしたら非常に高いものとなる。廃棄乳を与えるときは搾乳後すぐに与える,そうでない場合は低温で保存しておくか,高温殺菌(初乳は高温殺菌すると免疫グロブリンが変性してしまうので行わないこと)の後与えるようにする。しかし高温殺菌を行っても細菌は完全に死滅するわけではなく,そのまま放置すれば細菌は再び増加してしまうので注意が必要である。

9.抗コクシジウム剤の給与

 低レベルのコクシジウム感染によって免疫力の低下を引き起こし,2次的に他の病原体の感染が認められるため,抗コクシジウム剤の投与は重要である。
 以上のことを忙しい日常に行うのは難しいと思われますが,一つでも多く実施することによって,下痢や肺炎が確実に減少することも事実です。子牛に愛情を持って接し,子牛の死亡率が少しでも下がることを期待します。