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〔振興局だより〕

放牧用林地を利用した和牛増頭を図る
草地林地一体的総合整備事業への取り組み(神郷町)

岡山県農林水産部畜産課

1.はじめに

 農林水産省が公表した「食料・農業・農村基本計画」では,食料自給率の向上等が基本理念とされ,さらには「飼料増産推進計画」を策定し,飼料自給率の向上に向けて全国的な飼料増産運動が展開されています。岡山県でも飼料増産計画に基づき,水田での飼料作物生産,稲わらの利用,コントラクターの育成,優良品種の普及等,各地域で様々な取組がなされてまいりました。しかし,労働力の不足,購入飼料の手軽さ等から,粗飼料の需要がありながらも,平成14年岡山県の飼料作付け面積は4,191ha(対前年比91%)で減少傾向にあり,耕作放棄地は増加しています。
 放牧への取組は,生産性の低い土地を有効利用することができ,少ない労働力でも飼料の利用が可能であることから,飼料増産対策の重要な取組の一つとして注目されています。

2.公共事業を利用した和牛放牧への取り組み

 神郷町では,平成14年度から,草地林地一体的総合整備事業(事業主体:(社)岡山県農地開発公社)に取り組み,林地を利用した和牛繁殖経営を計画しています。事業内容は,平成14〜16年度に放牧林地約15ha,周辺の草地や野草地も含めた草地造成整備が約20haで,粗飼料は100%地域内で確保される予定です。約100頭規模の繁殖牛舎1棟,堆肥舎等が既に整備されており,6月以降,牛の導入も進められています。本年度,放牧地の牧柵や飲雑用水施設の整備により牧場は完成し,いよいよ来春から放牧が開始されます。


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3.期待される効果

 放牧により,牛は自然の中でストレス無く健康状態が保たれ,人的には,給餌や糞尿処理の軽減から,労働時間の縮減が図られ,牛・自然の力を利用することで,総合的に経費削減が期待されます。林牧内の下草は,牛により刈り取られ,牧草の種子は牛が運び,草地の拡大と管理がなされると期待しています。また,牛の放牧は牧草のみならず,木の育成にも良好な環境を作り,長期的には林業振興にも寄与するなど,耕畜連携ならぬ林畜連携の優良事例となることを願っています。

4 最後に

 町では放牧場に隣接して,ふれあい施設の整備もすすめており,このような,牛・人・地球に優しい放牧は消費者からの評価も得られると考えられます。放牧には,地域の実情に適した総合的な技術が要求されますが,このような取り組みが放牧を見直すきっかけとなり,経営的にも有利な手段として普及されることを望んでいます。


放牧林地