ホーム > 岡山畜産便り > 岡山畜産便り2004年8月号 > 〔共済連だより〕コクシジュウム症について

〔共済連だより〕

コクシジュウム症について

岡山西部家畜診療所 本田 直樹

 今回はコクシジュウム症についてお話したいと思います。
 コクシジュウム症のオーシストは血便ばかりではなく,褐色泥状便でも多くみられます。
 オーシストは牛舎牛房の柵,壁に飛び散った糞が,乾燥した状態でも1年〜1年半くらい生きています。このオーシストを牛が舐めて,胃腸に入り主に大腸(結腸,盲腸)に寄生(小腸に寄生するのもいる)し,炎症を起こし下痢を発症します。
 図にコクシジュウムの生活環模式図を示していますが,牛が健康でも,この発育環は成りたちます。何らかの原因で,健康状態が崩れると,日和見感染を起こし,下痢或いは水様血便等の症状が現れます。
 コクシジュウム症は生後3週齢以降に発生多くみられますが,肥育牛においては,導入直後の環境に慣れてない時期,肥育中期〜肥育後期のV−A欠乏による免疫が低下している牛にも発生がみられます。筆者は子牛でも直検します。そうすると直腸は肥厚し脆弱になっていますし,肥育牛においても直検すると同じ様な事が言えます。
 筆者はこれらの糞便を,そのまま直検手袋に入れて診療所に持ち帰り,顕微鏡で,直接塗沫法による鏡検をしています。水様血便では,全視野にオーシストがみられるし,褐色泥状便では1個でもオーシストが検出されると治療の対象としています。
 では原因となるオーシストを撲滅する方法があるのでしょうか?それは牛舎牛房の徹底した消毒しかありません。オーシストを殺滅する消毒薬は数種類ありますが,手っ取り早いのは,オルソ剤(ネオクレハゾール→武田)にて少なくとも1ヶ月に1回消毒してみることです。1年間根気よく実施すると,糞便検査において全視野に現れていたオーシストが次第に数が減ってきます。
 また最近では,オーシストを選択的に殺滅させる特殊な菌を含有した予防添加物(サルトーゼ→共立製薬)があります。実は6月から,この添加物を用いてコクシジュウム発生高い農家に,この添加物を使用していただきました。連日数頭ずつ採糞,鏡検したところ,オーシストの数が確実に減ってきて,昨年の6月より下痢の発生が少なくなってきました。多頭飼育においてはこの方法を推奨します。近い将来,小規模な農家の方々にも推奨したいと思います。
 酪農家を往診していると,タイストールの後ろに,子牛を繋いで飼養しているところを見ますが,なるべく成牛から切り離して,土地に余裕あれば,カウハッチ,育成舎で衛生的に飼養することを,お奨めします。
 結論としてコクシジュウム症はサルファ剤,止瀉剤等の投与ばかりではなく,徹底した衛生管理,オーシスト死滅添加剤投与等を心がけるようにし,そうすることによりコクシジュウムによる経済的損失を少なくしましょう。