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〔畜産農家の声〕

この道より我を生かす道なしこの道を歩く

おかやま酪農女性部 川上 一子

◎ いざ酪農家として開始
 平成2年10月18日、我が新築牛舎に、北海道育成牧場より、14頭の初任牛が入ってきました。この日より希望に燃えて脱サラし、主人と私の酪農人生が始まりました。3人の娘達も10才8才4才になり、手もあまり掛からないようになるのを待っての開業です。しかし中学校卒業までは、と思い、朝学校に子供達を送り出して、私は牛舎に向かう毎日が続きました。酪農をすることによって、子供達も牛に触れ、命の大切さ、また生き物に対する愛情など、色々な面でとても良い環境だったと思われます。我が家も義父母は葉たばこを作付して、全く違う仕事のために意見の行き違いもなく、手が足りない時はお互いに手伝い合う、という感じで、私達が酪農を始めることに何も口出しをせず、見守ってくれた両親には感謝しています。
 現在、搾乳33頭、育成21頭までになりましたが、今後、搾乳40頭くらいまでになればと思っています。これは、飼料、堆肥、主人が人工授精師として回っているため労働力などを考えてのことです。

◎ 研修生と共に
 私も学生時代研修生として、先輩酪農家の温かい指導を仰いでいたため、そのささやかな恩返しの気持ちを含めて、研修生を受け入れています。我が家へ来るまでに、北海道をはじめ国内のあっちこっちで実習をしてきた学生もおり、その時々の貴重な経験談や、彼等の持つ新しい技術を逆に教えてもらったり、その上研修生の家族の方達とも親しくお付き合いさせて頂き、私達の得るものも決して少なくないようです。研修中の生活を見る中で、その子の家庭教育が自然に出て来ます。それも私には、母として大変刺激になり勉強にもなります。また我が家で2ヶ月の生活を共にした研修生が各地で活躍しているのを聞く時ほど嬉しい事はありません。今、長女は笠岡湾干拓の竹信牧場で研修をさせて頂いており、娘の成長も楽しみの一つです。

◎ 主人と共に
 この美星の地で、まわりの酪農家の人達と和気あいあいとやってゆき、家族の健康第一として、私のモットーである何事にもプラス志向で、主人と私の大好きな酪農を、体の続く限り、満天の星の下、そして澄んだ空気と美しい緑、清流の郷、このような環境の中でやってゆけることを大変誇りに思っています。私の高校時代からの一番好きな言葉で「この道より、我を生かす道なし、この道を歩く」主人と2人3脚で頑張って歩こうと思います。皆様も是非一度、自然に恵まれた私の誇りの地、美星町を体験してみて下さい。